【001】神技の記憶(080319)

 中学時代、用務員のKさんという方がいた。
 当時、剣道部に所属していた私は、顧問のいない剣道部によく顔を出してくれたKさんから、色々な興味深い話を聞いたり、見たり、体験をさせて貰った。(Kさんは当時30~40代、おそらく独身だったのではないかと思う)

 Kさんの特技は、①瞬間催眠術 ②読心術 ③透視術

 ①の瞬間催眠術というのは、Kさんが相手の身体に軽く触れるだけで、全身の力が抜けてしまい、立ち上がろうともがいても、フラフラとバランスを崩して立ち上がる事が出来なくなる、というもの。
 この技は何人かの部員が掛けられたそうで、実際、私もその様な場面を一度だけ目撃した事がある。

 「合気=催眠術」と言い切る人もいるが、「合気」と「催眠術」は本来全く別のモノであろう。しかし、この二つの領域が決して交わらないというワケでもなさそうだ。

 以前、ある入門者に手を握らせた時、こちらが何もしていないのに勝手に身体を仰け反らせ硬直してしまった事が有る。試しに、彼に襟を掴んで貰った。胸をちょっと動かすと(予期した通り)自分で勝手にフッ飛んでしまった。おそらく、彼の中にあった「思いこみ」が、無意識のうちに彼の身体を反応させたのだろう。

 催眠や暗示的要素を排除しても、なお、不思議系の技を掛ける事が出来る様であれば別に問題はない。不思議系大好きで、武術稽古の目的がいつの間にか宴会芸の錬磨になっている人もたまに見掛けるが・・・。