酒井元樹著『名物刀剣 武器・美・権威』吉川弘文館刊 | 京都暮らしの日々雑感

酒井元樹著『名物刀剣 武器・美・権威』吉川弘文館刊

日本刀というものは、

日本における鉄鋼生産技術とともにあったから、

その歴史は旧く、文化的な伝承にも深いものがある。

想い返してみれば、

私らの世代では、

あの「赤胴鈴乃助」の時代から、

武士たる者ととか、武道・武術とか、戦国時代の戦乱とか、

忍者。妖術師の活躍とか、

そんな知識の大きな部分を漫画雑誌鱈得ていたのである。

その意味では、現代の青少年が、アニメによる刀剣への関心が高まることも理解できる。

もっとも、「刀剣女子」なる存在は、

私らの若い頃には想像もできないことなのだが。

 

従って、日本刀に関する刊行物も盛んで、

たたら製鉄によって生産された「玉鋼」とか、

様々なしつらえとか、研ぎとか、それぞれのテーマに応じた著作に恵まれた現在なのである。

こんなに面白い分野もないと夢中になるのである。

更に言えば、「隕鉄」から刀剣を作ったという、

よくそんな素材を見つけられたなという点もあるのだが、

それで日本刀を作るという試みの深さに感じ入ってしまうのである。