ハサミゲージ製作の世界
ハサミゲージの製作に際しては、
その技術的な構成要素は様々であるのだが、
根本的な技術的要件として、
指定された製作公差の範囲内で仕立て上げるか、それとも、
特定の寸法値ジャストに仕立て上げるか、という、
基本的な問題がある。
この両者の違いは、結局は同じ要求に基づくものであると解されそうなのだが、
実際には全く異なる修練プロセスを辿るものであって、
従って、
j特定の寸法ジャストに仕立て上げられ得る技能の習得に努めて始めて、
指定された寸法公差内で仕立て上げられたゲージというものが成就される。
しかしながら、この特定の寸法ジャストに仕立て上げる技能というものにはかなりな困難さを伴い、
従って、それなりの訓練と修練を要するものとなる。
特定の寸法ジャストに仕立て上げるということは、
かなりの修練と訓練を要する技能的課題となる。
他方で、例え特定の寸法値ジャストに仕立て上げることができているとしても、
ゲージ母材が簡単に応力変形を来すということであればその仕立て上げに意味はなくなるし、
あるいは、そのゲージ測定部が簡単に摩損するということであれば、
精一杯にゲージを仕立て上げるという努力も霧散してしまうのである。
従って、SK工具鋼というゲージ素材の世界にあっては、
特定寸法ジャストに仕立て上げるべしという命題は『精神訓話』に等しい要求であって、
せいぜいが『指定された製作公差内製作すべし』という当たり前の要求でしかなくなるのである。
そのため、ゲージ素材がSK工具鋼からダイス鋼へ変更された段階では、
当然のことながら、この本来の要求が意味を持ち始めるから、
このキャスト寸法ゲージの製作を前提に置くべきことになる。
従って、ちょっと立ち止まって考えてみれば、
ハサミゲージ製作の素材としてダイス鋼を採用すべき理由ということは明らかである牛、
#6000で最終的な寸法仕立てをすべしという必然性も明らかであるだろう。