平面磨きの技法とその問題点 | 京都暮らしの日々雑感

平面磨きの技法とその問題点

ゲージ屋にとって、その究極の技法目的というものは、

ブロックゲージの測定面並の面粗度での仕立て上げ、と、

ハサミゲージの仕上げ面とブロックゲージ測定面との間で、

リンギングするというレベルでの仕立て上げ、ということだったのだが、

このことは、言わば、ブロックゲージ製作の機械ラップの技法では既に実現されていることであったから、

機械ラップの技法を手作業でのラップ技法に降ろしてくるという試みであったわけである。

機械ラップと手作業でのラップ作業との違いは、

その作業における「加圧力」が圧倒的に違っており、

その加工スピードも圧倒的の異なっている。

従って、機械ラップの技法をそのまま手作業での技法に降ろすということは、

およそ不可能なことと理解され、

ゲージ屋にとっての究極目標というものは、

つまりは「見果てぬ夢」として、およそ実現不可能と理解されてきたのであった。

 

しかしながら、

基本的な技法としての遊離砥粒ラップ/湿式の技法を丁寧に解析して再構成すれば、

決して実現不可能な究極目標ではないことが分かる。

論的には、

ラップ工具としてのアルカンサス砥石、

ラップ油、

ラップ砥粒、の

三点セットの組み合わせで、#600~#30000の粒度範囲におけるラップ加工が可能になる。

ラップ工具としてのアルカンサス砥石の効用というものは驚くべきものがあって、

旧前以来「鏡面仕立てにはアルカンサス砥石」という婦負大が再確認されたのであった。

これで仕立て上げたワーク表面というものは、

当然に、他の平面とリンギングするわけで、

言うなれば、「これ以上の平面仕立てはあり得ない」と言えるまでのレベルが

極めて単純で簡明な道具立てで実現されるのであった。

アルカンサス砥石は、リンギング面を確実に実現できるほどに、

緻密で精確な加工面を実現できるもの、なのである。

 

個々で例示しているのは、遊離砥粒ラップ/湿式の技法に拠る場合であるのだが、

固定砥粒ラップ/乾式の技法に拠ればどうなるか?という問題が次に浮かび上がる。

もちろん、いろいろな問題が浮かび上がるのだが、

それをどう評価しどう取り込んでいくかは、それぞれの作業者の担うべき課題である。