なんやろうねぇ、これは・・・:「相棒」3/22
秘密を持つということは弱みを持つということで、
他人にその弱みを握られる前に、その秘密を公然化すれば、
そんな弱みは弱みでなくなる・・・。
そんな「気を利かせたつもり」の発想で組み立てられたドラマだったのだが、
「アホかぁ」という感想しか持てないのである。
組織に帰属してその第一線で活動していた女が、
調査ターゲットの男に強姦されました、
強姦されて妊娠しました、
その子が長じて、女の母親の下で成長しています、という話なのだが、
そんな女が、むざむざと強姦されるようなタマか?と思うし、
周囲に全く知られずに、妊娠・出産が可能かどうかは疑問だし、
それ以前に、強姦されたとしても、直後に処置をして妊娠は防ごうとしただろうし、
この間の事情が全くドラマでは明らかにされていない。
これでは、この女は、単に「オンナ・オンナ」した「手弱女」でしたということでしかない。
そんなものではないだろう。
私らが期待するのは、
かつて篠原とおる氏が描き出した『女囚サソリ』や『0課の女』の主人公の如く、
クール・ビューティでありハード・ボイルドなキャラクタなのであって、
今やふやけきったご都合主義の「推理」を開陳するだけに終始する主人公の、
その「対極」をなす女性キャラクタなのである。
日本の女優さんの中で、
ハード・ボイルドを演じられるのは梶芽衣子さんだけだったと思っていたのだが、
仲間由紀恵さんがおられたと、
このことは、もう、大発見なのである。
さすがに、東映現代劇の伝統が現在に至っても健在なのであった。
であるからこそ、2時間ドラマの枠があれば、
もっと丹念に、心理の奥底を描き切れるだけのドラマ作りができたはずである。
今シーズンの「相棒」は、結局、生煮えのまま終わった。