審査2日目の朝は、Division 1の参加者を指導しました。
マイアミは英語がわからなくて、スペイン語を喋る人が多いので、とりあえず虎の巻を見てご挨拶。
とても集中力がある子供たちで、1時間半フルで頑張ってくれました!
いったんホテルに戻り、審査員のエリザベッタとルーベン(ABTのJKOスクールで指導しています)と3人でスーパーにお買い物。お寿司とかフライドチキンを買いました。去年のホテルは近くにスーパーが無かったので、今年は助かりました!
黎水那から聞いてはいましたが、本当にアメリカは現金を必要としないです。全部カード払い。私もスマホをかざすだけ。
こちらの動画どおりに
今日の審査は Division 3/4の二曲目のクラシカルヴァリエーションとパドドゥでした。
パドドゥは6組全員が日本人(ひとりパートナーがイギリス人)でしたが、審査員席で涙が出そうになりました。
1組1組それぞれが個性が違い、それこそ彼らはプロで踊っている連中なので、コンクールは子供の頃にエントリーしていただけで、コンクール自体が数年ぶりの子たちばかり。
バレエ団の過密スケジュールの合間に限られた時間だけ練習してきたのを知っていたので、見ていて感無量でした。
私もヴァルナ国際バレエコンクールにエントリーしたのは25歳の頃で、ザルツブルクからブルガリア入りしました。付き添い教師もいなくて、別に誰かに指導してもらったわけでもなく、1人で参加しましたが
「バレエ団の毎日より楽で楽しかった」と言う感じで、むしろ非日常的な具合が楽しかったです。
なぜならコンクールの演目自体は「自分が踊りたいもの」をチョイス出来ますが、バレエ団ではそんなワガママは一切通用しなくて、嫌な作品も踊らなくてはいけない「義務」があるから。
私は以前から言ってますが
「コンクールの練習だけで疲れてしまうなら、バレエ団就職は諦めたほうが良い」
と言うのは本当です。
コンクールは1-2曲極めれば良いですが、バレエ団はそれこそ1日に何作品も順番を覚えなくてはいけないし、本番の日の昼間に違う作品を練習していて本番、と言うのは当たり前。
しかも数ヶ月前に踊った作品でずっと練習もしていなかったのに突然ディレクターから
「今日、リハーサルやるから踊って」
と言われるのも当たり前。そこで順番を忘れていたり、出来ていなかったら、別にその時点では首にはならないものの、評価は必ず下がります。
そして新しい振付家がバレエ団にやってきても、ディレクターやミストレスから
「あの子は責任感ないから、役はつけないほうが良い」
となってしまいます。
ですから極端な話、バレエ団に入ったら、入ったその日から辞めるまでが毎日コンクールだと思わないといけない。とにかくディレクターたちから「見られている」ので、その態度で役が決まります。
一位、二位とかは無いですが、1st cast、2nd castがあるなら、まさにそれも「順位」
だから「順位はあまり気にしなくていいよ」と言うのはむしろコンクールであり、本当の順位やら評価と言うのはバレエ団、バレエ学校の方が厳しいと思います。
留学したらexamがありますから、そこでも順位はあります。よく留学したダンサーたちが「首席で卒業」と経歴に書いてあるのは見かけますよね。それはすなわち「一位」と言うことだし…
バレエの世界は決して「平等ではない」です。ただそれはプロ、もしくはプロを目指す人たちであり、アマチュアなら別にそんな「順位」にこだわる必要はないですし、他の楽しみ方は山ほどあります。
コンクールはそんな「バレエ界の厳しさ」の疑似体験のような場かも知れないですね。
私もオープンクラスの指導から、いきなりマイアミ国際バレエコンクール審査とガラッと変わりましたが、そのギャップを楽しんでいますし、両方大好きです。
審査を担当するなら「主催者のポリシーが私と同じコンクール」の審査なら務めたいとは思っております。
2月にオールジャパンバレエユニオンの審査員は務めますが、こちらのコンクールは主催者の鈴木輝彦さんのバレエに対する考え方に感銘を受けたので務めさせて頂いております。
国際バレエコンクールの審査も可能な限り引き受けたいと思います。今回も審査員室は情報の宝!アリシア・アロンソなどの伝説の話から、ラトマンスキーのような振付家の話が聞けるのは国際コンクールならでは!
あと二日間、沢山審査員の先生方とお話しようと思います。
左右木健一