10年前の今日のブログ…


ヴァルナに着いて間もなく記者会見があり、ブルガリアの審査員ヴィアラ(今はベルリン国立バレエ学校の教師です)が色々助けてくれて



とにかく薄井先生に教わった事を胸に審査して



この時から「今までの指導法で良いのか…」と疑問に思い始めました。


こんなスノコのようなボコボコで滑るような床でも最高のコンディションに持ってこれる子たちの秘訣は何だろうか…



結局、行き着くところは「基礎力」だと言うのがわかりました。


もちろん舞台経験値も必要かも知れませんが、ヴァルナの場合、こんな床の上での経験値なんてまずあり得ないですから「ヴァルナに向けて練習」とかしても現地で打ちのめされます。野外劇場で審査は夕方からで、劇場は昼も使えますが、まずは暑くてフルでは踊れない(日本人参加者は練習していましたが、笑)各国にあてがわれたスタジオは体育館みたいな場所か、私が参加した時と全く同じスタジオ(と言うことは約20年前)の床がツルツルのスタジオしかなく…


しかし、そのような最悪な環境でも、ダンサーは踊れてしまうのです。よく見ると、やはりターンアウトが出来ているので、どのような床のコンディションでも踊れてしまう。


滑らない床に助けられてターンアウトしてるか、不安定な床でも「自分のチカラ」でターンアウトしてるか?


その当時、私はまだ解剖学を勉強できていなかったにしても、よくよく振り返ってみたら評価していた事は解剖学には自然に繋がっていたのがいまさらながら判明しました。


あれから10年…ヴァルナ国際バレエコンクールもコロナ禍で無くなり、コンクールに対する価値観も変わってきました。


「権威あるコンクール」と言われているコンクールでさえ、平成生まれの子供たちからしたら数あるコンクールの一つにしか過ぎませんし、ローザンヌしか留学への道がなかったと思われていた昭和から、YAGPの登場により、幅が広がり、今では別にコンクールに参加しなくてもビデオオーディションだけで留学、就職が決まる時代になりました。


10年前と今ですらこんなに違うのですから、10年後はどうなるのか?


わかっていることは?私は62歳になっていると言うことだけです(笑)


左右木健一