10年前の yoshimura dance centerの「コッペリア」の写真を見ていました。
「コッペリア全幕を振り付けお願いします。男性不足してるので舞台にも出てください」
と言われたのがキッカケで、12年間踊っていなかったのが、全幕振付 & 舞台復帰になりました。
しかもこんなゴージャスな舞台装置のなかで!衣裳も全部新着!
日本のプライベートスクールの底力ここにありだな?と感じたのと同時に、こんなにゴージャスな発表会が出来る国は無いのに、どの劇場も貸し小屋で劇場付属のバレエ団、バレエ学校が皆無なんだよな…と。海外の先生たちからも「私たちの国では、こんな規模で学校公演出来ない!」って羨ましがられるけど…
でも、国立バレエ学校もないんですよ日本…ゴージャスな発表会は民間が個人が頑張っているだけ。
貸し小屋は抽選だし(ちなみに仙台は倍率300倍)
個人のチカラで頑張るしかないのが現状なんです。そしてそれは何十年も改善されていないから「内輪受け」って言われて終わる…
体制が悪い、と言うより「なぜバレエを認知してくれないか?」を考えないといけないんですよね?
以前にも書きましたが、私が中学生の頃、日本バレエ協会のチケットをさばくためにチラシを学校に持っていくと、全クラス生徒の前で
「こんな、発表会に毛の生えたようなもん、くだらない!」
と言われました。私が日本を本気で離れようと思ったキッカケにもなりました。
どんなにリハーサルを頑張っていても、フルオーケストラの舞台でも、世間一般からしたら
「発表会に毛の生えたようなくだらないもの」
としか思ってくれないのです。これが現状。
今は昔と違って、本当にバレエが認知されつつありますが、それでもまだ
「バレエって…よくわかんない」
となります。海外でしたら夜に劇場に足を運んでバレエに限らずオペラや演劇を見に行く(そしてそれは年間パッケージみたいになっていて、だいたいの市民はそれを購入)同じ演目を何十回もやります。
どんなに酷いデザインの衣裳だろうが、装置だろうが、振付だろうが、国からお金がドン!と降りますし、それに対して
「税金の無駄遣いだ!」
と騒ぐ市民はほとんどいません。たぶんそんな部分に税金を利用されても、市民生活にはさほど影響がないからでしょう。
しかし日本の場合、新しい劇場を建てようものなら即座に
「税金の無駄遣いだ!」
と騒がれます。それだけ日々の生活に余裕が無いのだと思います。
韓国国立バレエ団では既にバランシンのJewels「ダイアモンド」「ルビー」「エメラルド」が上演されました。日本はいつになったらこの三部作を一晩に上演されるのか…海外のバレエ団には既にこの三部作はレパートリーに入っています。
「バレエにはお金がかかる」
はい…それは事実です。チュチュに付いている小さなスワロフスキー1つですら、10円とか、20円というわけにはいきませんし、夢のような装置、照明を一晩10000円と言うわけにもいきません。
ですから、その価値がわからない人にしたら
「高い」
となりますが、ではディズニーランドの1dayパスポートが9400円したり、ディズニーホテルが一泊50000円だったり、ブランドバッグが200万円しても「高い」とは言わず、皆さん払いますよね?
「バレエに、それだけの魅力や価値がないんだ」
と深く反省しなくてはいけないと思います。
いつか
「発表会に毛の生えたようなもの」
と言わせないために…
左右木健一