よくある質問が
「先生に注意されている内容がわからない」と。
特に大人の生徒さんが悩まれるみたいです。
「もっと強く!」「引き上げて!」と言われて
「何を?どこを?」となるし
「もっと高く脚をあげて!」と言われて
「どこまで?角度は?」となるし
一番厄介なのが
「ちゃんとして!」と言う注意。
どこの?何が?ちゃんとしてないの?
???わかりません???(笑)
しかし、これは全て私のような昭和生まれの世代が注意された内容です。わからないと
「なんでわからないの?察しなさい!」
と怒られるから、自分でひたすら考えてその場を切り抜けていきました。
しかし今は誰かに聞いたらすぐに具体的に答えてくれますから、昔に比べたら天国です。
情報もたくさん、たくさん!ありますし。
しかし大人の方々はSNSをひたすらグルグルとエンドレスにチェックするから、益々わからなくなる、と言う悪循環になるみたいです。
股関節の可動域は決まっているのに、SNSを見たら180度以上開いてるのを見て、焦って無理矢理SNSの真似でストレッチをして痛めたり…
足の可動域も決まっているのに、SNS見たらつま先が床についていてそこを目指して痛めたり…
昭和の頃のほうが、そのような情報がなかったのでとんでもない怪我(別に怪我する必要のない無茶な事)は少なかったのかも知れません。
昭和の注意の仕方にせよ、令和のSNS大量情報発信にせよ、どちらも「極端すぎる」
いずれにしても良いとは言えないですよね。
しかし、根本に見える共通点は
「結果を求めるが故に、地に足がついていない」
と思うのです。
ピルエットをどうしたら回れるか?
それを「1000回根性で回れ」でもなく
手っ取り早く「1日でこんなに回れました」と言うSNSを真似するわけでもなく
「今、出来ることにフォーカスする」
だけで、成長するのだ、と焦らない事が大事だと思うのです。
私も踊っていた頃は、かなり焦っていました。
そうとう短気でしたし、勝気でしたし、生意気だったと思います。まあ20代-30代なんて「大人の反抗期」だったりしますからね。
しかし今、この年齢になり、冷静に物事を見られるようになると
「焦って良い事は、ひとつもない!」
と気付く事が多くなりました。
子供たちだったら
「この年齢までにコンクール入賞」
「この年齢までに留学」
大人の方だったら
「この年齢までにトウシューズ」
「この年齢までに一度は男性とパドドゥ」
と目標を定めるとは思います。しかし、それが上手く行かない時は、一度立ち止まって
「その目標を達成させる以前のスタート地点に立っているか?」
を考えてみるのも良いのかも知れません。
焦らず、焦らず…
そんなに皆さんのバレエは逃げていきませんから。
左右木健一