今年も World Ballet Day が配信されましたが、3年前はこんな記事を書いていたんですね?

バレエ団のレッスン内容を見た趣味の大人の方が

「私だってあれくらいなら出来る」

と言う話を聞いた時に書いたものですが…

多分レッスンの順番が簡単なのを見て

「あれなら私も出来る」

と勘違いしたのかも知れませんが、バレエ団のレッスンはリハーサルに備えたものであり、そんなに複雑怪奇で無意味なコンビネーションを朝からやらせたりするバレエマスターやミストレスはいないはず。ですからシンプルが一番でトリッキーなコンビネーションなどは朝から必要ないわけです。

リハーサルがさほどハードで無い時は、レッスンで全力を出していかないと筋力が落ちますし、非常に大変な役を与えられて、忙しい場合はセーブしたり、などなど。そこがアマチュアとプロの決定的な差です。

だから

「プロのダンサーのレッスンをインスタライブやYouTubeを見て真似しないでね?」 

と以前から話しています。

そもそもレッスンの「意味」が違い、現役ダンサー、バレエ団のバレエマスター達は子供達を指導するバレエ学校教師ではないので、まずもってレッスンの与え方が違いますから、気をつけてくださいね。

昨日も例年通り、オーストラリアからスタートしましたが毎年感心します。

「劇場に足を運んでみようか?」と思わせる手法に非常に長けているのです。そのようなスペシャリストがバックにいるのが垣間見えます。


また昨日見た限りでは、8年前に見た World Ballet Dayと今ではかなり違うのがわかります。時代が流れているので当たり前ですが。

まずは「世代交代」

8年前と変わらずに踊っている素晴らしいダンサーもいましたが、8年前はレッスンを受けていて今回はコーチングをしていたダンサーもいたりして、時代の流れを感じました。

そう考えると、昨日レッスンやリハーサルで踊っていたダンサーたちも8年後には引退してるか、指導者になっている可能性が高いわけです。

日本は40代、50代でも現役ダンサーが多いので、キャリアが長いと思われますが、海外では日本のような私立のバレエ団もほとんど無いので30代前あたりからセカンドキャリアの準備をしていく必要があります。

日本のような「発表会ダンサー」のシステムは海外の男性たちにはほとんど無いので、バレエ団のディレクターかバレエマスター、もしくは自分でスタジオを開くか、バレエとは違う道に進むか。いずれにしても40代、50代で舞台で踊る人は日本よりはるかに少ないです。そもそも日本で言う「子供の発表会」と言うシステムが多いとは言えないので。

私ですらバレエ団と言う組織にいた年数は15年でした。組織に属していない生活はすでに21年経ちました。そしてもし私が死なずに運良く80歳まで生きたとしたら、あと30年近くはバレエに携わるとは言え「踊らない生活」を過ごすわけです。

いかに「ダンサー」の生活が期間限定か、おわかり頂けましたか?

もちろん趣味で習う方は、80歳でも舞台で踊れます。

しかしプロで踊っていた人間はアマチュアには戻れません。プロとアマチュアでは感覚が違うのです。

どちらが良いとか、悪いとか、ではなく「舞台に立つ責任の感じ方」が違うのです。

若いうちに精一杯頑張って踊り、それと並行してセカンドキャリアに移行する準備は絶対必要!

なぜなら

「踊りをやめてからの人生のほうが長い」からです!

左右木健一