私が現役で踊っていた頃、ロシアバレエが本当に苦手でした。

まずもって海外で10年間踊っていた時は、ロシア人の先生との接点がほとんど無くて、ワガノワベースとは言え、セルジュ・ステファンスキー先生(右側)はカナダ在住が長くてほぼカナダ人みたいでしたし…


前回お話したダニエル先生はバランシンメソッドオンリーでしたし…



バレエマスターだったオーストラリア人のロス・ストレトンも(後に英国ロイヤルバレエ団の芸術監督に就任しましたが辞任。メラノーマでお亡くなりになりました)は当時はABTのプリンシパルだったので、ガチのアメリカバレエでしたし…


そんな10代を過ごしてきた私は、ワガノワメソッドとは無縁でしたし、苦手分野ではありました。

しかし、指導者となりキーロフアカデミーで指導していたせいか

「左右木先生はワガノワメソッドだけで指導しているんですか?」

と、誤解されて、その度に

「ワガノワだけではないです!資格ないですし。ただ指導力はあると思われて依頼されて教えているだけです」

と声を大にして言ってるのですが…

うちのHPにも「ワガノワで指導しています」とは一切記載していないですし「指導者勉強会はワガノワです」とは一言も言っていなかったのに。人の勝手なイメージとは非常に恐ろしいですね(笑)


桜井幸子先生からワガノワ指導法は教わりはしましたが、ワガノワだけで指導はしていませんし

(名前は言えませんが)あるワガノワに長けている先生からは

「ワガノワで指導しています、とは本家が許可しないかぎり決して言ってはいけない。資格?そんなのいらないから!」

と言われて以来、ワガノワだけにはこだわらなくなりました。

とは言え、ワガノワの良さは今更(!)わかります。

踊っていた頃は全くわからなかったのに。


よくよく振り返ると、忘れもしない1998年の新国立劇場バレエ団、私は29歳でしたが、ワジム・デスニツキー先生にペザントを習い、ドゥジンスカヤ先生の前で踊ってしまったと言う世にも恐ろしい事件のようなキャスティングをされて…

それはワガノワメソッドで教育を受けていない私が例えば赤ちゃんになり、高速道路をハイハイするくらいの危険行為(笑)

ワガノワの「ワの字」も知らないくせに、よく踊れたよな?と思います。

そんな私が様々な先生方を見てきた結論は?

「目の前にいる生徒が上達すれば、それが正しかろうが、なんだろうが、生徒を救える真の指導者である」

と言う事。

実際、メソッドに縛られずに様々な先生方から学んで生徒を育てている先生も世の中にはいますし、メソッドだけに縛られて生徒が育たないケースも沢山話は聞いています。

どちらが良いとか、悪い、とかではなく

「上達させる方法に正解はありそうで、ない」

と言うこと。

常に目の前の生徒をみて、判断して、臨機応変に言葉のかけ方を変えたり、難易度をUPさせたりDOWNさせて様子を見たり…

そんな指導者になれたら、と思います。

左右木健一