マイベストプロは以前こちらに掲載していたブログをリライトしたものですが
質問内容は

いつも決まった同じレッスン内容と、同じバリエーションです。もっと他に習いたいのですが。そしてもっと注意してほしいです。

非常に、非常に困る質問の代表です(笑)

バレエと言う習い事では「あるある」なのですが、このように考えることしか出来なくなっている時点で、その人は成長が完全に止まっているのがわかりますし、将来的に上達する可能性は極めて低いのがわかります。

「自分にはまだ足りない部分がある」

「注意は前回もらったんだからそれを自分で気をつけよう」

と言う謙虚な考え方が出来ない人は、残念ですが救うことは不可能です。

「バレエに必要な才能は何か?」

と問われたら、真っ先に

「同じ事を繰り返せる人です。そしてその同じ事を同じレベルではなく、日々高めつつ、そのクオリティを維持出来る人」

と、いつもお答えしています。

人間、同じ事を繰り返すのが面倒になり、新しいものに飛びついては飽きて、を繰り返すから「ひとつの道を極められない残念なケース」となる。

「天才は一握り」

と言われるのも、それが原因だと思いますが、ちょっと考え方を変えるだけで、絶対天才に近い状況になれるのでは?と私は信じています。

「いつも決まったレッスン(ヴァリエーション)内容…」

と不平不満を言うのではなく

「今日のバーレッスン(ヴァリエーション)は、昨日より外旋六筋を感じることが出来た」

「今日のバーレッスン(ヴァリエーション)は、去年よりはるかにターンアウトが上達して、安定することが出来た」

と、今の自分と過去の自分を比べるバロメーターが「いつも決まったレッスン内容」として受け止めれて、新しい発見を見出せば良いと思います。

ヴァリエーションをちょっと練習して、飽きたら次のヴァリエーションに変えてしまうとか…

先生に注意をしてもらえないから、と不平不満を言うとか…

その気持ちはわからなくないですが…

結局は「自分 対 バレエ」ですから、自分が取得する以前に違うヴァリエーションにチェンジしようが、先生に注意をもらおうが

「自分が変わらなければ、一生上達しない」

と気付いた時点で、もう十分に成長している証なのです。そこに気が付かない人は、残念ですが成長はストップしています。

このバーレッスン、一年前からうちのスタジオではやっていますが、毎日同じではないにせよ、この順番は数ヶ月間ずっとやらせていました。



その積み重ねがあるので、数ヶ月このバーレッスンをやらなくても、抜き打ちで「去年のバーレッスンやるよ」と言うと全員身体が勝手に反応しますし、順番を忘れてしまう子は1人もいません。

しかし、私があれもこれも、とバラエティに富んだ日替わりメニュー的な、行き当たりばったりのレッスンを指導していたら、彼女たちの記憶力どころか

「反応は良いけど、基礎が全然出来ていない子」

となり、結果的に

「何年間もレッスンしてきたし、コンクールでヴァリエーションは10曲近く取っ替え引っ替え踊ったけど、特に何も上達しなかったどころか、癖だらけの踊り方だけ残り、修復不可能」

と言うケースは子供だけでなく、大人の方も沢山みてきました。

いったんつけてしまった間違った癖を取るのは本当に大変なんです!

だからこそ

「同じ内容を、正しいところまで導ける段階」

にしてから、新しい内容に進んだほうが近道なのです。

ちょっとした心がけで、誰でも天才に近づけますし、その「気付き」が「バレエの才能」です!


左右木健一