昨日のインスタライブでも、コンクールの結果に悩んでしまっている方々のコメントが寄せられてきました。

もし、結果にとらわれそうな場合は是非こちらを流し聴きして下さい。気持ちを違う方に持っていけば良いのです。



自分自身を責めるために、振り返るわけではないです。

成長するために、振り返るのです。

昨日は

「左右木先生はコンクール予選落ちしたこと、ありますか?」

と聞かれました。

はい!あります!

初のコンクール、そしてなんとプロになり一時帰国してエントリーしたコンクール、予選落ちでしたよ(笑)意外でしたか?

私自身、そんなに大したネームバリューもないですし、それはよく自覚しています。

しかし

「バレエが好きだから、この世界にいる」

のです。

こんな私ですが、指導をする立場だったり、コンクール審査を務めるようになれたのは、海外の先生方をみてきたからだ、と思います。

今も昔もバレエ教育に携わっている方々を見ると、いつもコンクールで入賞して、いつも主役で、いつもリーダー的存在だった人ではなく、むしろ現役時代は無名で、挫折を味わった方々のほうが圧倒的に多いです。

国際バレエコンクールの審査員を見ても、そのメンバーのほとんどが現役時代スターだった人は少ないですし、スカラシップ対象のコンクール審査員もバレエ学校で勤めている校長や先生方で、その方々も華々しい現役経歴がない方々が大半。

なぜか?

「バレエ団」と「バレエ学校」は全く違う組織であり

「自分の芸術性を追求して、常に脚光を浴びる」

のと

「自分のことよりも、まずは生徒の芸術性を高めてあげる」

のは、全く違うジャンルだからです。

水と油くらい、全く違います。

ですからコンクールにおいても

「バレエ教育として、将来を考えてあげるのが仕事」

という審査員と

「完成されたものを、求めるのが仕事」

という審査員では、全くジャッジの観点が違うわけです。

国内コンクールで受賞した子たちが、海外で評価されない例は、皆さんよくご存知だと思います。

審査員のメンバーが変われば、順位も全く変わるのです。

ですから皆様には伝えていきたいです。

「結果に翻弄されないためにも、コンクールにエントリーする意味を、いま一度考えてみてください」

と。

コロナの影響で表彰式がないコンクールのほうが圧倒的に多いですが、私はそれで良いと思っています。

「何がメインなのか?」

を皆がコロナで振り返る事が出来たのではないでしょうか?

もちろん頑張った証に、誰かから賞状を頂き、その光景を大勢の観客の前で披露することは、ある意味

「頑張った証を証明出来るチャンス」

かも知れません。

しかし、いくら現役で華々しく活躍して毎回毎回スターとして扱われるどの誰もが、いずれは脚光は浴びなくなる事実を、理解すべきです。

子供でアマチュアなら、尚更です。

そしてそんな子供たちを守ってあげられるのは、周りの大人たちです。

挫折を味わった子は、人の痛みを理解出来る子であり、将来的には、その経験は絶対プラスになるのです。


バレエのメインは

「いかなる立場に立たされたとしても、スタジオに戻り、自分を成長させるか」

であり

「コンクールで華々しく受賞したことを周囲から持ち上げられる」

ことではない、と言う事を理解出来た時に、初めて

「バレエ屋」ではなく「アーティスト」としての一歩を踏み出すと思います。

左右木健一