カナン国際バレエコンクール in 台湾のオンライン審査を務めております。

在宅で審査。すっかり慣れました!普段の審査とあまり変わらない感じで進行していきます。

採点して、コメントを書く作業。とても楽しく務めさせて頂いております。



台湾はもともとコンテンポラリーが強く、クラシックを踊っている参加者よりも、コンテンポラリーを踊る彼女たちはまるで別人でした!

もちろんコンテンポラリーを踊れる事は素晴らしいです。YAGPでもその必要性は問われていますし、コンテンポラリーのレベルは実際上がっています。

しかしコンテンポラリーを踊れる子供たちが増えた一方で、クラシックをきちんと踊れる子供たちの割合が減少している傾向にあるような気がしました。これはあまり良い傾向とは思えません。

もちろん

「もうポアントは一切履きません」

とか

「白鳥の湖は一生踊りません!」

と将来の方向性を決めてしまうなら、別に何の問題もないです。

しかし

「クラシックもコンテも両方踊っていたい」

と言うのであれば、クラシックの技術や知識に欠けていた場合、かなり苦労すると思います。

どのジャンルでも難しいことには変わりないですが、クラシックバレエにおいては、かなり厳格なルールがあるので、嫌でもそのルールに自分を合わせる必要があります。



キーロフアカデミーの校長、Mr.Duがポールドブラについてお話して下さいました。

昨日私がアップしたYouTubeで話したこと(4:55あたりからご覧ください)



これです。3番(アンオー)から2番(アラスゴンド)の腕の形は一切変えないとか。



当たり前の事が、実は私が子供の頃はそうではなかったんですよね。

昭和のあの当時のバレエ教室では、バレエ教育と言うよりも「バレエファンの裾野を広げる」事がメインになっていて、コンクールも年に数回、海外のバレエ学校教師たちとの交流も皆無…しかも教師たちはだいたい現役の方々が多く、子供たちにはカンパニークラスをそのまま指導する教師が多かったために

「32回フェッテは回れるけど、内足」
「パのボキャブラリーは山ほど知っているけど、基礎が出来ていない」
「ポアントを履き始めて間もないのに、発表会でグランパドドゥを踊ってしまう。本人のチカラではなく、発表会ダンサーと呼ばれるサポートが上手な男性に仕立てあげられて」

と言うことが、さほど問題視されていませんでした。今なら大問題です。

間違って伝えられた伝統は1日で覆るわけにはいかないですから、いくら世代交代しても、若い世代の方々が疑問を抱かない限り、昔ながらのレッスン方法は(若い先生たちにより!)受け継がれるわけで…

コンテンポラリーと違うのは、クラシックバレエの「一体全体、バレエ教育の何が正しくて、何が間違いなのか?」の線引きが曖昧にも関わらず、最終的に仕上げなくてはいけないかたちが決まっていて、その指導法を世界統一することが不可能…これが問題です。

コンテンポラリーは独自の世界を創り上げることが可能であり「誰かの作風をメインに世界統一にしましょう」みたいな動きはないはず(あった、としたらそれはもうコンテンポラリーではない)ですから仕上がってきた作品、表現手段が個々違うとは思います。

「バレエ指導の免許があれば良い」と思われがちですが、日本の場合、免許を持っている教師よりも、持っていない教師のスタジオから優秀な生徒が育っている事実があります。ひとつのメソッドが合わないと「不適合」「不合格」とする必要がなく、臨機応変に子供たちの才能を伸ばすことが出来るからだ、と思います。

私もキーロフアカデミーのオンラインを指導する日以外は、ワガノワメソッド以外のクラスも時々指導したりします。

だからこそ、最近

「クラシックバレエの難しさ」

を感じます。

たぶん、東京ー仙台に移動するのに、飛行機か?自家用ヘリか?自家用車か?新幹線か?在来線か?バスか?徒歩か?(笑)の違いかも知れませんが。

少なくとも「目的地に到達しない」と、飛行機でも無意味。

やはり「最終目的地」に向かえる最善の方法を常に模索していく旅を、バレエ教師は続けていくのだな?と思っています。

そんなSoki Ballet Internationalの土曜日は、5クラスです!
左右木健一