皆様ご存知のコンクール、ジャパングランプリ。

その審査員を既に17年務めているビクトリア・シュナイダー先生。

今年一月にマイアミ国際バレエコンクールの審査をご一緒させて頂きました。

右がビッキー先生です。左はバレエ・ウェストのシンシア先生。


なんと私がアップしていたブログに補足するかの如く、素晴らしいアドバイスを頂きました!

なぜ「2番の踏み換えをしたらいけないか」

彼女の言葉を日本語に訳しました。

「2番ポジションにする際、軸足を動かさない理由」

アキレス、すねの筋肉、足首の前部、股関節の筋肉が柔軟に動かせないので、軸足を動かさないでください。強力なアレグロワークを必要とするためには、これらすべての強化された柔軟な筋肉が必要です。

「広い2番ポジションがターンアウトに生かされる、と勘違いしている方へ」

私たちの語彙には  これらの深い内股関節の回転体に到達する他の動きはありません。とても広い2番ポジションは気持ちがいいですが、ストレッチをするだけで、強くはなりません

…これだけ彼女がわかりやすく指導して下さっているので、いちいち私がまた見せる必要はないですが、とりあえず。


って人は、せめてこちらだけでも。

まずもって、バーの持つ位置が合っていたら軸足をわざわざ踏み換える必要はありません。



コンクールなどで「体重移動がうまく行きません」と言うお悩みを沢山頂きますが、原因はこれではないでしょうか?



例えば想像してみてください。

ピケアラベスクをする際に、両足に体重をかけて、両足ポアントに立ってまたぐ瞬間がありますか?

…ですから

「コンクールのヴァリエーションばかり練習していても、何の解決にもならない」

「発表会の練習ばかりしていても、毎年上達が見られない」

理由は「根本が間違っている」ので、解決出来ないわけです。

もちろん幼少期から足を踏み換えようが何しようが踊れる人はいます。はい、私もそうでした。

しかし、それはたまたま「ラッキーなだけ」であり、今と違って解剖学も何も全く知識がないまま、しかし自分で編み出した事によりバレエを辞めなくて済んだ人たちです。そしてその数は限られていますし、その人たちが編み出したものが万人に通用するか、と言われたら答えはNOだと思います。その人の身体能力、センスがあったからかろうじて事故にならなかっただけですから。

しかし…事故は引退後に起こります。ビッキー先生の世代、私より年齢が上の方は引退して人工関節の手術をした方が多いです。

ですから指導の際にも

「私みたいな苦しみは味わわせたくない」

と勉強している先生方もいます。

もしくは

「私だって痛みに耐えたのだから、ストレッチをガンガンやりなさい。練習は1日も休んではいけない!」

と言う先生もいたりします。私より上の世代の先生方は二極化にわかれるかも知れません。

今は時代が違います。

情報がこれだけあるのです。その情報を選択する自由もある。

ある意味、本当に

「情報を選択するセンス」

がむしろ問われている気がして、昭和時代よりも厳しい感じがします。

ビッキー先生はジャパングランプリを審査して、日本の子供たちを指導して17年。色々な思いをマイアミで私に話して下さいました。

17年前は私はジャパングランプリに生徒をエントリーさせていた時代でしたから、ビッキー先生なんて雲の上の存在で、話なんかできなかった。

私の17年前のビッキー先生の第一印象

「厳しい…」(笑)しかしその当時のワークショップは…

子供たちのバーの持ち方が違う。

音を聞けない。

集中していない。

無理矢理ターンアウトで、ロールインしてる。

骨盤はほぼ全員ダック。

ポールドブラ、破茶滅茶。

もちろん2番踏み換えオンパレード。

センターで列に並べない。

…そりゃあブチ切れますよね(笑)厳しいわけでも何でもない。

今、振り帰ると、子供たちの責任ではなく、100%指導者が悪いのです。私も深く反省して現在に至ります。

「趣味の延長でコンクール出ました」

「プロを目指しているわけじゃないから、敷居が低い習い事程度でいいんです」

では済まされないのです。最終的に思いっきり恥をかくのは子供たちですから。親御さんはアマチュアですから、それを解決には決して結びつけられません。プロの指導者以外には問題解決出来ないのです。

ビッキー先生のアドバイス。是非指導者の先生方にもシェアしていただきたく、ブログを書いてみました。

決して私ひとりが「踏み換え禁止」を騒いでいるわけではないこと。そして正しく指導をしていたら、子供たちが恥をかかないで済むこと。

良い方向に向かうことを祈ります。

左右木健一