私は大人の方や、サークル活動みたいな場所でバレエを習った子供たちを指導することがあるのですが、とにかくビックリさせられることがあります。

例えば、大人の方が以前

「左右木先生に足を踏み換えないようにして、と言われたので踏み換えずに2番ポジションにしたら、某オープンスタジオで、踏み換えないのは上級の方がやりますから、大人の方は足を踏み換えてください…と言われちゃいました」

とか…

むしろ逆なんですけどね(笑)

こちらの動画をご覧ください。



「踏み換え禁止」を説明する際、フェルナンド・ブフォネスさんの事を話しているのですが、10代(下手したら20代も)彼を知らないみたいです。

森下洋子さん、マリアナ・チェルカスキーさん、ノエラ・ポントワさんたちと「海賊」を踊るブフォネスさんを観てきた私からしたら「知らない」と言うことが、かなりショック!

「踏み換え」はもっとショック(笑)ブフォネスさんみたいな強靭な身体だったら、別に踏み換えてもいいし、プロなら別にいい。

ただ、子供に踏み換えを教えたら、もうバーの最初の時点でアライメントがぐちゃぐちゃになります。

…と言うことは、日本では浸透していない、と海外の先生方は嘆いています。

「子供に基礎を教え、教育する」
「初心者の大人の方に教える」

のと

「カンパニークラスを与える」

のは、まずもって目的が違います。

その辺を理解せずに指導をしてはいけない、と言うのは指導を長く続けていると理解できます。

理由があるので、足を踏み換えないわけで、別にそれは私が勝手に決めたわけではなくて(笑)バレエがバレエであるべき方法が「それ」だからです。



もちろん「カンパニークラス」的なレッスン内容は中学生あたりから大丈夫な場合はあります。

しかし、それは小学生のうちから正しく基礎を学んできた子たちだけであり、毎日毎日カンパニークラスみたいな内容のレッスンを基礎から外れたところで行っていても、上達からは遠く離れるでしょう。

私も、うちの中学生以上の子たちの様子を見て、わざとカンパニークラス的な内容にする日もあります。

これを基礎的な事が理解出来ていない小学生には絶対やらせないです。



「なんとなく好きだから」
「なんとなく嫌いだから」

の「なんとなく」でレッスンをするのでは、ただの感情論になりますから、そうではなくて

「このようにすべきなのには、〇〇のような理由があるから」

など、具体的な理由があるのが大事であり、物事を判断するのも「好き」「嫌い」で決めないようにしないといけない、と思います。

もちろん私も人間ですから、そのような感情を完全に消せるほど悟っていないとは思いますが(笑)

美しさを追求して、それに執着しなくてはいけない、このバレエの世界において、人として成長するためには「執着を手放す」ことを同時にやらなくてはいけない…

つくづく大変な世界に足を踏み入れてしまった、とは思います(笑)

左右木健一