長くなるので、二回に分けます!

先週からスタートしておりますカナン国際バレエコンクールのオンライン審査ですが…

クラシックのヴァリエーションは全て審査終了したのですが、バーレッスンとセンターレッスンの審査が1人15分で決選出場者が48名と少ないとは言え、コメントを記入するのに非常に時間がかかっております。

一人一人に対して、何を書いたら良いか…

言葉を選びながら書いているのですが、先日のブログにも書いた通り、現時点で半数近い参加者を審査して、振り返ると大多数に対するコメントが

「骨盤の位置が正しくありません」

でした。これは大問題です。

彼女たちは(素人目線では)とても達者にヴァリエーションを踊ります。

身体の条件も良い、運動神経も良い、センスも良い、音楽性も良い、容姿端麗。

しかし、そのヴァリエーションが「違う方向」を向いているのです。

審査員なら見抜けます。

「バーに掴まったら、きっと立ち方が間違っているだろう」と。

嫌な予感は外れません。百発百中で的中してしまいます。

ただ、それはバレエを知らない人だったり、審査員を務めた経験が浅く、普段から子供たちとは接さない審査員たちには見抜けません。

「ヴァリエーションしかないコンクール」


「レッスン審査のあるコンクール」

で同じ面々がエントリーしても入賞者が違うのは、それも原因があります。

見た目の「ヴァリエーションの出来」だけで判断してはいけないのです。

ほとんどの基礎力の無さは「骨盤」を直すことで、徐々に改善されるように思うので、やはり「普段のレッスン」が全てだと思います。

またバーレッスンの後半に軽いストレッチを見せるのですが、全員身体は柔らかいのです。脚も軽々バーに乗せ、自分の脚を軽々と手で持ち、柔軟さをアピールしています。

しかし、センターでデヴロッペが全くキープ出来ていないのです。ガタガタ崩れそうなのをアーチが下がった軸足、弱々しい体格で支えているので、力任せにキープしますが、それも長時間はキープ出来ません。すぐに脚を下ろしてしまう。

「ストレッチさえしておけば、脚が高くあがる」

の神話は、もうそろそろ終わらせたほうが良いと思います。

「自分の身体で自分の脚をキープする」

のと

「バーに乗せたり、手で脚を持ったり、えびぞりしたり、床にベロ〜ンとなりスプリッツする」

のは、違うものだ、と言う解釈を指導者は必要としていると思います。

ストレッチが悪いわけでは、決してないです!

ただ「身体が柔らかい自慢」を床でしていても、自分の脚で立ち、自分の身体のバランスを保ちながら脚をキープするには不十分だ、と言う理解が必要になります。

それは男の子にしても同じです。

彼らは物凄く身体が柔らかいわけではないですが、ストレッチに苦労した、と言うよりは踊るにあたっての筋肉の使い方を伝達することに、かなり時間を要しました。


ヴァリエーション、バーレッスン、センターレッスン、3つ全てをオンライン審査で、改めて明確になった事は…

「ヴァリエーションだけ踊れても、最終的な評価には結びつかない」

と言うことです。

「演目を変えてコンクールに出るのが楽しみ」

と言う人もいますから、毎年毎回ヴァリエーションの演目を変えて変えてエントリーするのが、悪い、とは言いませんが。

根本を直さないと

「コンクールだけの子」
「コンクールだけのスタジオ」

になるので、それは

「バレエを学ぶ」
「芸術家を育てる」

とは、少し違う方向ではないか?と思いますし、気をつけながらコンクールに参加すべきだと思います。

左右木健一