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マイアミ国際バレエコンクール 2日目。


前日の9:30開始ではなく、10:00からのスタートでした。


今日はDivision 1のクラス。YAGPで言うと9-11歳のプリコンペティティブ部門にあたります。



前日、ヴァリエーションを審査していたので、そこで気になったことと、翌日コンテンポラリーを控えているので、それを踏まえたクラスを行いました。

やはり海外の子供たちは第1-第6ポールドブラを知っていました。ここが日本の子供たちと違うところです。

ワガノワメソッドのポールドブラを知らないと、絶対にバレエが踊れないわけではないですが、やはり教わっているのと教わっていないのでは、決定的な差が生じます。

「ヴァリエーションは踊れるけど、クラスが全然ダメ」

と海外の審査員の先生たちに言われることが非常に多くて、それが「どのようにダメか?」を私自身が審査をするたびに先生方から情報を仕入れ、なおかつ改善方法を学んだおかげで、今は以前よりもより審査するポイントが変わってきました。

それがいわゆる「審査基準」になります。

ですから

「国内コンクールでは評価されるのに、海外では評価されない」

という現象が生じるのは仕方ないことです。

海外の先生たちとの交流がないと、国内基準の指導法が全てになるので、そうなると国内基準で考えて海外に飛び出して行きたくても、認められない。

前回の記事に書いたことと全く同じで「日本のバレエ」というのは存在しなくて「バレエはバレエ」である、と言うのが海外の審査員の先生たちの考えにあります。

今回、私がびっくりしたのが、日本だとどんどん参加者が減っていく15歳以上の部門がレベルが非常に高いこと。

YAGP日本予選でもシニア部門になると、15-19歳で、海外年間留学を19歳には与えないです。その歳はすでに学校を卒業していますから。

ですから最近は15-18歳までには日本を離れる子供たちが多くなり、逆に日本にいる子供たちが「留学はまだ早いから」と周囲に反対されながら、16歳、17歳、とのんびりしているうちに大学進学の現実が待っていたりして、そうなると必然的にコンクールにも参加しなくなり、レッスン回数も減り…しかしバレエが好きだから海外のバレエ学校に入りたい、と願っても受け入れてくれる年齢もですが、バレエ漬けの毎日を9歳から過ごしている子供たちとは明らかな実力の差があるわけで、現実問題難しくなっていきます。

早期留学を勧めるわけではありませんが、もし留学を希望するのであれば、海外の子供たちと同じレッスンカリキュラムを日本で受けていないと難しいと思います。

ですから「海外に行けばどうにかなる」ではなく「日本でいかに準備をしていくか?」を考えていかなくてはいけない、と思いました。

今回、私が選んだ日本人の参加者の皆さんは海外の先生方からも

「レッスンが良い!」

と言われていました。これは大きな進歩です!

私も実際日本の参加者の皆さんを指導したり、見学したりしていましたが、それは非常に感じました。

「海外に一歩出る」と言うことは、短期であれ、年間であれ、コンクールのような短期間であれ、準備をしていく必要があるわけで、そこにどれだけの時間と情熱を費やすか、が運命の別れ道だと感じます。

マイアミ国際バレエコンクールは新しいコンクールではありましたが、私は直感で

「これは従来のコンクールよりも歴史がない分、何か凄い展開になる」

と確信していたら、案の定ディアナ・ヴィシニョーワから直接オーロラを指導してもらったり指導者の先生方も見学出来たり、などというサプライズが待っていて…

参加者や指導者の先生たちが「マイアミに行く」と決断して行動したことが、もうすでに「チャンスを無駄にしていない」と思うのです。

「コンクールに参加するなら、賞を取らないと」

と言う考え方ではなく

「学ぶために来た」

と言う考え方は、レッスン態度やヴァリエーションに出てきますし、それは将来を明らかに変えていくことが出来ます。

コンクール始まってからまだ2日しか経過していないのに、本当に審査員の先生方から学ぶことが山ほどありました。

色々な観点から見るためにバックグラウンドが様々な先生方やカリーンみたいにヒューストンバレエのプリンシパルもいます。しかし考えることは皆、同じでヴァリエーションの仕上がり具合と言うよりも、ポテンシャルを見ているのです。

「失敗しなければ良い」とか「テクニシャン」とか「スタイルが良い」とか、そういう単純な評価ではないです。基礎がなければ評価されません。

逆に基礎はあるけど、ヴァリエーションに関してまだまだ改善の余地がある、と思われる子たちは評価が高かったです。

なぜなら正しい積み重ねが出来るベースがあれば、そこから先は経験を積めば良いのですから。

しかし日本国内にいると、ベースを積み重ねる大事な時期にベースがないところで経験だけを積み重ねていく…これでは海外では評価されないでしょう。

「海外には出ないで国内だけでバレエをやっていく」選択もあります。

しかし現実問題、バレエ界で生き残るためにはいつか必ず海外の先生方と仕事をする日が来ます。そのときに

「基礎からやり直したら?」

と言われたら、どれだけショックだと思いますか?

バレエを始めて数年の12歳くらいの子が

「基礎がない」

と言われるのと、日本国内では認められて日本のバレエ団でも踊っていて、ゲストで海外に招かれるような地位にある人が

「基礎がない」(プロには面と向かって言いませんが、陰でかなり言われます)

と言う評価を下されるのでは、かなり違うと思います。

マイアミ、凄く開放的なのに


海を眺めながら色々真剣に考えていました。


踊る本人たちにやる気がなければ別ですが、もしやる気があり、本当にバレエの道で歩みたいと思った場合、その舵取りをする指導者と、それを評価する審査員の責任は非常に重いと感じます。

私もまだまだ勉強しなくてはいけないことが山積みですが、頑張って勉強していこうと思います。

左右木健一