香港のコンクールで審査員を務めたのが7月。

あの時も

「黒い服を着て街を歩かないようにね」

とは言われていましたが、現在大変なことになっています。

私が訪れた7月は、MTRも普通に走っていましたし、特別何か危険な思いをしたことは一切ありませんでした。

しかし現在の様子は…これです。異常事態です。

私が香港バレエ団に在籍していたのは20歳の時、1989年でした。

アコーディオンカーテンだけで仕切られたトイレの便器の真上にシャワーがあるような部屋、しかし家賃は当時10万円。給料の半分は家賃に引かれ、鉄格子に囲まれて、昼か夜かもわからない薄暗い部屋から生活が始まりました。

まだSARSが問題視されていない時代でしたので、とにかくいたるところが不潔。汚水をマンションの部屋からバケツで投げ捨てたり、信じられない光景を毎日、沢山目の当たりにしました。

バレエ団の雰囲気も最悪で、とにかく毎日が辛かったので、逃げるようにヨーロッパにオーディションを受けに行き、ザルツブルクに移籍したときには

「二度と戻りたくない国」

と思っていました。

しかしあれから30年…

SARS問題もあり、街は清潔になり、むしろ香港なら毎年仕事に行きたい、と思っていました。

その矢先のデモ…

4ヵ月前はこのようにコンクールも開催されていましたし…


ひとりで夜に歩いていても何の危機感も感じずに歩ける街


MTR(地下鉄)は清潔そのもの


食の宝庫



平和な日常生活が戻ることを祈っています。

左右木健一