私がバレエを習い始めて、学校で馬鹿にされなかった日はありませんでした。


子供に限らず、大人にも馬鹿にされました。


学校の教師には


「男のくせにバレエか?食べていけるのか?」

「まともに部活もやらないで、かたわか?」


と言われ続けてきました。


その屈辱があったからこそ、ヨーロッパで国家公務員扱いされる「バレエダンサー」という職業に就けました…



しかし、私のようにバレエを続けてきたにも関わらず、Good Morning America の ララ・スペンサーみたいな、いわゆる「影響力のある人」が発した言葉の暴力で、バレエを諦めてしまった少年たちは山ほどいます。


彼女はインスタグラムで謝罪を書いていましたが、あまりの誠意のなさにバレエ界のみならず、世界中のバレエに関係のない方々まで完全に呆れています。


なぜ、そこまで皆が怒るのか?


答えは簡単です。


人は自由の権利は持てるが、他人の夢を 、まして子供を嘲笑い、各々が大事にするものを奪う権利はないからです。


夢、しかも少年(しかもロイヤルファミリーのたった6歳の王子様)のみならず、バレエを習う男性を馬鹿にするような発言…


全世界の男性バレエダンサーたちが、あの放送を見て思っています。


「あ、また始まった…ウンザリだし、子供時代に言われ慣れてる」と。


私も


「男のくせしてバレエ習ってる」


と嘲笑されながら子供時代を過ごして来ました。


「珍しい」

「数が少ない」


と言うだけで、子供だけでなく、大人ですら、そのような対象をイジメのターゲットにします。


それは昭和時代にとっくに終わっていた、と思っていたら


2019年にもなって、未だにそのような人を小馬鹿にする品性下劣な人種がいるとは…


しかし、昔と違うのは


「男がバレエを習って何が悪い?」

「性差別者、恥を知れ」

「少年の夢をぶち壊す無礼な人」

「教養のない人」

「今時そんな差別発言を」

「ハリウッドスターだってバレエを習っている」

「バレエの歴史も知らない無知な人」

「子供の夢を嘲笑する下品な人」


という怒りのコメントが彼女に寄せられています。これは進歩です。私が子供の頃とは違います。


しかし、残念なことに



 「バレエなんて世の中の役に立たない」


 「バレエのどこが良いのか、理解出来ない」


と思う人が多数いるのは事実です。


「バレエを理解してほしい!」


とこちらが力説しても、無駄かな?と思うときもあります。


なぜなら…


綺麗なお花を見ても全く感動しない人に 


「この花は人の傷ついた心を癒してくれるんだよ」


と説明したところで、人の傷を理解しない人間にはお花の価値すらもわからないでしょうから。


「わかりあえない」のであれば、距離を置けば良いだけ。


わざわざ危険な場所に足を運ばないのと同じで、危険な思想の人に近づき、耳を傾ける必要はない。


しかしTVを万が一観てしまった場合?


各々が賢く捉える必要がある時代だと思います。


とにかく…周りがガヤガヤうるさくても


Boys Keep Dancing!


その情熱は、言葉の暴力などで冷めるような、そんな弱いものではないです。


秘めた計り知れないパワーを知らない無知な人は可哀想です。


なぜなら、あらゆる手段を使って人が築き上げてきた財産や夢を奪って嘲笑って、傷つけたとしても「魂」は決して奪えないから…


左右木健一