昨晩ニューヨークから帰宅したくみ先生から、たくさんYAGPの話を聞きました!





この2人をはじめ、とにかく男子のレベルが高くて、それはそれは凄かったそうです!

「バレエ界をリードするのは、今の時代は男性」

というのは、ここ数年の傾向にありましたが、ここに来て遂にジュニア世代からあからさまになりましたね。

そして、男子も女子も、とにかく柔軟性が必須であり、コンテンポラリー作品に至っては、もうほぼ「新体操」の域だったそうです。

これも既に何年も前からYAGPの傾向にありましたが、結局「コンクールだから」ではなく、バレエ団の求めている人材が、そのようなタイプを求めているから、その傾向にあるわけです。

SNSで柔軟性が強調されて、とんでもないストレッチや「身体が柔らかい自慢大会」みたいな写真や動画は、いたるところで見つけられます。これはコンクールのジュニア世代だけではなく、プロのダンサーにも同じことが言えます。

テクニックも同じです。ポアントで10回転することや、男性のサポートなしで1人でポアントでプロムナードする動画、男性も今ではダブルトゥールではなく、トリプルの時代。

以前は

「柔らかいだけ」

もしくは

「テクニックだけ」

だったのが

「容姿端麗」
「柔軟性抜群」
「安定感抜群」
「表現力抜群」
「音楽性抜群」
「集中力抜群」
「メンタル最強」
「テクニック最強」
「基礎力備わっていて当然」

そして

「カリスマ」

どこまでも際限なく、全てが備わっていることが求められている気がします。

日本の趣味のお習い事意識とは、真逆のところにあるのが、現在の海外のバレエ教育レベル。

「努力することは当たり前」
「それが出来なければ無理」

これは昔からバレエの世界では当たり前でしたが、それが更に強い傾向にあるようです。

そう考えた際、やはり「バレエ教育」について、再度考え直さなくてはいけないと思うのです。

趣味でなんとなくバレエを習っていた子が、いきなり「やる気スイッチ」が入り、本人は自覚していなくても、類稀な資質を持っている場合がたくさんあります。

しかし、間違った教育を受けてきて、修正が困難な場合、その子供は苦労します。

街を歩いていても

「バレエをやればいいのに!」

という容姿の子供たちはたくさんいます。しかし、バレエと巡り合う機会もなければ、その子たちや親御さんが全員が全員、バレエに興味があるわけでもない。だから「習う子供」が自然と限定されてくるわけです。

ですから

「バレエを習う」
「バレエを続けられる」

ことが、既に

「選ばれた存在」

であり、自分が選ばれた存在であることを自覚した人間がプロになっている気がします。

「コンクールなんて無縁」
「どうせ趣味だから」
「今更本格的に習うつもりはない」

と思っている子供たちが、もしかすると無限の可能性を秘めているかも知れない。

そして、それをバレエ教師たちは見過ごしてはいけないし、子供たちの「やる気スイッチ」が入った時点で「基礎力」が既に備わっていたとしたら?

やはり「教育」と「環境」

整えるべきだと思いましたし、これから求められるものだと思います。

今は朝の6時半。日本音楽高等学校の授業のため、東京に向かいます。

いつでも子供たちの「スイッチ」が入っても良いように、下地を作ってあげること…

私の使命だと思っております。

左右木健一