ワークショップ最終日!


私は小さな子供たちを2時間指導しました!


来年度のワークショップのスカラーシップを教師が数名選ぶのですが、今回はイーサン君を選びました。

とても真面目に、女の子のヴァリエーションも嫌がらずに一緒に覚えたりして、とにかくレッスンの集中力が秀でていました。


誰かがポアントで10回回っても、誰かがトリプルトゥールを回っても、誰も驚かなくなりました。

Instagramで見慣れてしまっていて、特別感が何ひとつなくなったのです。

しかし、そこまでの超絶技巧の根底が、どこにあるのか?という疑問を子供たちは抱きません。

ですから、簡単に見える振付を

「こんな簡単な振付?」

と軽く言ってしまう。

……知らないって怖いですね?(笑)

バレエに簡単な振付なんて、何ひとつ存在しません。ここを理解しないといけません。

ターンアウトは完璧?(小さな子供たちなら、ターンアウトは完璧でなくてもいいけど、骨盤のプレースメントは正しい?)

指先にへんな癖はない?

腕の通り道は正しい?

身体の向きは正しい?

出す足の一歩一歩を役柄を解釈しながら歩いてる?

音の取り方は正確?

……ね?簡単な振付なんて、一切存在しないのがわかりますか?

むしろ削ぎ落とすだけ削ぎ落としたシンプルな振付こそ、基礎が出来ているか、出来ていないか、がわかります。こちらのほうがごまかしがきかないから難しいです。

マレーシアの子供たちも、しっかりと理解してくれたようです!


日本に限らず、世界中でコンクールが乱立しています。

レベルは上がってきていますし、優秀なダンサーたちが東南アジアから輩出されている一方で、基礎の大切さよりも、ヴァリエーションを仕上げることに躍起になる傾向もあります。

コンクール期間前、期間中のワークショップは、そんな子供たちに

「ヴァリエーションは、バレエではほんの一部であり、全てではない」

と伝えられる貴重な機会でもあります。


審査員のミーティングでも「バレエ教育」について、ずっと話し合いました。

コンクールは、キッカケに過ぎず、しかしキッカケがなければ「基礎の大切さ」を知る機会がないかもしれない。

ですからコンクールの乱立や、ポアント問題を、ただただ批判するのではなく、いかにして改善すべきか…

それを各国の先生方とお話し出来たことは、私にとっても貴重な機会!とても勉強になりました。

明日から審査です。楽しみです!

左右木健一