「え?なぜにMilkaチョコレート?」
「で、心を大切に…って、何?」

と思いましたか?まあ私、チョコレートは好きは好きなのですが。

今日のテーマは「心」です。



日本という国でバレエの世界にいると、一般の方からしたら不可思議な挨拶があったりします。

例えば、夕方なのに

「おはようございます」

みたいな。私は劇団ひまわりに所属していた時期がありましたので、この挨拶は当然、と教えられてきましたが、一般の方からしてみたら「は?」ですよね。私もこの世界を知らなければ「は?」です(笑)

しかしこの世界にいて、普通に

「こんばんは」

なんて言った日には「ちょっと常識ある?」と馬鹿にされてしまいます。

ちなみに、なぜ昼間だろうが、夕方だろうが

「おはようございます」

か、知ってますか?歌舞伎界から来ている、という説もありますし、24時間体制の仕事の場合、夕方スタートの場合、その人にしてみたら、1日の始まり。従って、夕方でも「おはよう」なわけです。バレエ界や芸能界に限らず、そのような仕事場でも「おはようございます」という挨拶みたいですね。

で、チョコレート。

実はヨーロッパの劇場では、プレミアだったり、初役デビューの子に

「toi-toi-toi」

のメッセージカードを添えて、出演者同士で配りあったりします。私が働いていた劇場は団員が25名ほどしかいない小さなバレエ団でしたが、それでも20名以上のダンサーに20個のチョコレート、20枚のメッセージカードの準備、しかもプレミア前で心身ともに疲れているのに繰り広げられる一種独特のしきたりは、日本の

「おはようございます」

以上に疑問でしたし

「なんでこんな風習あるわけ?」

と、思っていました(笑)

明らかにプライベートでも親しくなくて、ましてや仕事上でも大して接点がなくても、交換し合う toi-toi-toi お義理チョコレートは、日本のお中元、お歳暮のような

「とりあえず、お世話になったし、いまさらやめるわけにいかないから」

みたいなニュアンスが感じられて、ヨーロッパって、ある意味日本っぽい!と20代の若くて、何も知らない無知な私は感じていました。無知は怖い!(笑)

で…ここからが「心」のはなし。

「おはようございます」が馬鹿みたい。

「toitoitoiチョコレート」が馬鹿みたい。

……そこの根底にあるのは

「心」がなくて「真髄」を全く理解していないから、馬鹿みたい、と感じるんだと思いませんか?

夕方から仕事がスタートする方にとって(あと数時間でベッドに入って1日の疲れを癒す人ならともかく)「こんばんは」は、むしろ仕事を頑張ろうというモチベーションが下がるかも知れないし。

toi-toi-toiチョコレートも、自分と共にこれから舞台初演を迎える仲間全員に「一緒に頑張ろうね!」という気持ちが、たまたまチョコレートとメッセージカードに込められていたり、とか。

海外では「よろしくお願いします」というに該当する言葉はほぼ存在しないけど、ある意味チョコレートにはそれと同じニュアンスがあると、今ならよくわかります。

物事の真髄、というか、そのような奥深いニュアンスが感じられないと、その儀式や風習が

「馬鹿みたい」

となりますが

「おはようございます」「チョコレート」

に「心」がこもった瞬間から、はじめて形だけではない「人を思いやる気持ち」に繋がっていくのではないでしょうか?

「心」を大切に。

目に見えるものだけを信じるのではなく、目に見えない「心」を信じるのも…素敵です。

左右木健一