以前にもこの言葉を書いたはずですが…

「Life is not fair」

私が子供の頃は、まさにそれでした。

どんなに頑張っていても、えこひいきはありましたし、ましてプロで踊っていたら、その連続。

初めて主役を頂き、嬉しく思っていたのに、とつぜん新しく入ってきた人に役を取られそうになり、リハーサル中も今まで毎日積み重ねてきたのに

「あ、あなたは踊らなくていいから。彼に踊らせるから」

と言われたり…そんなのはバレエ団、当たり前。

コンクールも、オーディションも、完全に選ぶ側の価値観と、その時「良い!」と思う子をピックアップしたりする。選ぶ側の選ぶ基準がハチャメチャでも、抗議なんか出来ない。

普段のレッスンをサボっているのに、コンクールでは1位を受賞したりする仲間。自分のほうが努力してるのに…

などなど…

そう。人生は不公平なんですよ。

一生懸命、税金納めて頑張る市民の税金、とんでもない使い方する政治家だって、いますよね?そして日本という国は事なかれ主義だから、その時は騒ぐのですが、そんなスキャンダルをもみ消すだけの力と、黙らせる力まで備わっていて、太刀打ち出来ないし、太刀打ち出来るパワーもない…その時点でもう

「不公平」

世の中の不公平のおかげで、潤っている人々がいるわけです。

…さて、ここでどのように気持ちを切り替えていくべきか、が幸せになるか不幸になるか、の違い。

「〇〇先生は、〇〇ちゃんばかりえこひいき。だからお教室移籍します!」

「〇〇バレエ団は〇〇さんばかり主役。だからバレエ団移籍します!」

の場合。もちろん、それは悪いとは言いません。理不尽だ、と思えば移籍OK。

しかし、世の中、もっと恐ろしい理不尽…知ってますか?

バレエ界…上には上がいる、ということを。

移籍先が国内なら、もしかしてトップになれるし、自分がえこひいきされる側になり、満足かも知れません。

しかし、海外に留学したり、海外で就職できた場合…

以下の現実が突きつけられるんですよ。

どんなに頑張っても日本人がヨーロッパのお姫様、王子様にはなれない。アジア人なんて存在すら認めない場合だってある。

どんなに日本で頑張っていても、社会的地位が国から保証されているヨーロッパのバレリーナと日本のバレリーナでは、扱われ方が違う。

どんなに表現力が長けていても、アジア人の表現が嫌いなヨーロピアンはたくさんいる。

などなど…

自分を認めてもらえる場所、もちろんあります。そこを探す旅は、アリ。

しかし、残念なことに「上には上」がいるんですよ。


私の場合は、そんなに天狗ではなかったですが、割と踊ることには自信がありました。

しかし、そんな私の一番の挫折。

お客様を振り向かせられるだけの表現が、どう頑張ってもヨーロピアン達に認めてもらえない。

そりゃあ、そうですよね。教育からDNAから全部違うのですから。

「日本には日本のバレエの良さがある」

と思うのであれば、日本で活動すればいいわけで、実際海外でプリンシパルだった方々が続々と帰国している現実をみたら、もう、わかりますよね。海外で認められ続けていたら、帰国せずに永住してるはず。しかし、現実はそうではない。

乗り越えられない壁って…あるんですよ。

「こんなアジア人でも…バレエを踊れるだけ…有り難い。場所はどこでもいい…踊れる場があれば」

と。トップに登りつめた人は、よく口にします。

上には、上がいる。

よく覚えておきたいです。そうすれば、謙虚になれますし、幸せなバレエ生活、送れますから。

左右木健一