舞台から一夜明けて…
振り返っています。色々なことを…
(かがり先生、写真ありがとうございます!)
よく、子供が1 歳だと、親も1歳…
と言われますよね。その通りだと思います。
赤ちゃんが生まれて、いきなり完璧な親はいなくて、色々試行錯誤をするのは当然です。
育児書を読んでは悩み、他の子と比べたり、とんでもなくストレスが溜まり被害妄想みたいになったり…を繰り返すうちに、親は気付きます。
「子供なんて、親の言う通りになんか成長しない。成長してるように見えるのは、ただ親の言いなりになっている、親にとってご都合の良い子供にしか育っていない。それは成長させた、とは言えない」
うちのバレエスクールも、昔はそうでした。
最初の数年間は、まさに地獄でした。なぜなら、どうやって問題を解決したら良いのかわからない。
子育てで言ったら、急に子供が発熱して、夜中救急病院に行ったものの、子供は辛そうにしていて原因不明と言われ、あたふたする…のと似ています。
自分の子供ならまだしも、他所様の子供にバレエを指導する。しかも、1人、2人ではなく100名以上を…でもこれが日本のバレエの先生方が当たり前のようにやってきたこと。私達もその「当たり前」と言われてきた指導方針で進んできました。
しかし、その指導方針にある疑問が生じることがありました。
確かに生徒は育ってきました。しかし本当に彼女たちの力で育っていったのだろうか?と…
そんな疑問のなか、ある海外の先生から、サラッと言われた言葉で、目が覚めました。
「完全させるのではなく、成長させなさい」
すなわち「未完成で構わないではないか」
と言うことです。
…こうなると、私の指導方針を180度方向転換する必要がありました。
なぜなら「期日まで、絶対に仕上げなければいけない!」と、私自身もそのように育ち(昭和生まれなら、だいたいそう)そして、何よりも人様の目を気にして、何かを失敗したら、この世の終わりみたいになる。だから意地でも、無理しても、完成させたように人様にとりつくろわなければいけない。しかし、それは全部「偽物」にしか過ぎない。
子供がつまづいて転ばないように、目の前の石コロを親が拾ってあげたり、危ない遊びをしないように24時間監視して守ってあげて、ちょっとでも子供が「イヤ」と言ったらそれを取り除いてあげるような指導方針は、バレエには必要ない、と色々経験して悟りました。
石があるなら、自分で避ければいい。社会人になったら、お姫様でない限り、自分の歩む道の石ころを拾ってくれて道路整備する人なんていない。
「イヤ」とダダをこねて「この環境が悪い!私の都合の良い場所にしろ」と叫んだところで、会社が貴方にとって都合の良い場所に変化しますか?しないですよね。
子供の頃、大人に「完成させられた」事例を沢山聞きます。その後完成させられた子は、どんな状況になったか。自分で決断する能力も備わっていなければ、問題解決を模索する力も身に付かず、成長も止まり、ダメになっていく…よく聞く話です。
「これはマズイだろう…危ない!」
と思うことは、その都度指導しました。しかし、自分で解決出来るだろう、という事はあえて黙っていました。
私が振付して、くみ先生が沢山指導しました。
しかし、踊り切ったのは子供たちで、私たち教師がいちいち手出しをしなかった結果は…大成功でした!
人生を団体観光ツアーみたいに、誰かにアレンジされるようではダメなんです。
自分でどこに行くのかも、何時に集合するかも、どの道を歩くかも、旗を持ったツアーコンダクターの後ろを何も考えないで歩くような生き方なんて、子供に絶対にしてはいけないし、させても何の意味もない。
まずは「考えるキッカケ」を奪わないようにする。
思考停止にならないように、何をやったら失敗して、何をやったら成功したか、の経験を自分で積ませる。
昨日、楽屋をチラッとみたら、小さな子供たちが自分でメイクを落としていたり、小学生が誰にも頼らずフルでメイクしていたり…
そう。それでいい!
と、言う事は私も指導者として21歳。
世間の21歳なんて、まだまだ子供ですよね。
また一から頑張ろうと思います!
左右木健一