先日のシミュレーションバレエコンペティションのレクチャーでもお話させていただいたことなのですが…

舞台袖。


舞台慣れをしていない子供たちに限らず、指導者の先生が客席から丸見え、というケースが最近非常に多くなりました。

これは「絶対に見えてはいけないもの」として、昔から先生方に厳しく指導されてきていたはずなのですが、このご時世、厳しく指導されることがなくなった結果が如実に現れてしまったのかな?と思います。

ポアントのリボンの結び方も問題で、結び目が出てたり、リボンがはみ出ていることなども「見えてはいけないもの」のうちのひとつです。

ポアントのリボンは必ず縫うように指導されていることが当然だ、と男性である私でさえわかります。なぜならバレエシューズも脱げないようにタイツとシューズを縫うか、松ヤニをタイツにつけるとか、ゴムをキツくするとか、男性も本番前は必ずやりますから。

色々な情報がネットで飛び交うのに、なぜかこのような当たり前の知識が浸透しないどころか、むしろ悪化しているのは、摩訶不思議だよね?と色々な先生方と話をしています。

最近では指導者の方が「上手(かみて)」「下手(しもて)」を知らない人がいる、と舞台スタッフさんから聞いたこともあります。多分舞台を知らずにバレエ指導をしているのかも知れません。バレエを教えるにあたり、日本は国家試験も何もないですから、大人からバレエを始めて、一週間後にバレエ教室をひらいてしまった、なんて実話すら聞きます。

制限もなく、自由に色々と出来てしまうのは、良いようで、実はレベルが下がっていくのだ…というのは、バレエのジャンルに限らず、あらゆる職種において共通していると思います。

「お見せして良いもの」
「絶対に見せてはいけないもの」

の線引きが、なかなか難しいと言うか…

昔のバレリーナの方たちは、それこそスーパーでネギなんか買ってる姿は見せるな、みたいな教育を受けた、と聞いております。私生活も絶対に見せない。バレリーナはミステリアスでなければいけないから、と。

いまのインスタと大違い…いまは大スターたちの楽屋裏から住んでる部屋、足の裏、歯を磨いているところ、つけまつげを取るところ、全部もれなく大公開。私もネギ、正々堂々と買います(笑)

しかし、そのインスタと、舞台袖で仁王立ちしてる姿が丸見えなのは…別。

舞台はインスタではない。

見えてはいけないものは、絶対に隠さなければいけません。

だって…高いチケット買って見に行った舞台で、綺麗なチュチュを着たお姫様が仁王立ちして、腰に手を当ててペットボトルを片手にゴクゴク水飲んで、ゲップしてる姿…客席からみたいですか?

ある意味、面白いかも知れませんが(笑)

それはインスタとか、ドキュメンタリー番組か、
お笑い番組だけにしておきたいものです。

舞台袖からとんでもない姿を見せてしまうのは、テーマパークのハリボテを目撃してしまい、夢が興ざめ、というのと同じ。

夢を提供する立場、提供出来る人材を育てる指導者でいる自覚を、私自身も今一度きちんと確かめなくてはいけないと思います。

左右木健一