この20年近く指導していて、親御さんから

「うちの子、見込みありますか?」

と聞かれることがあります。そんな時は自分自身のことを例にお話します。

私は幼少期にいわゆる見込みゼロな「ダメな子」でした。

誰からも期待されていませんでしたし、容姿に恵まれていたわけでもないです。

バレエはビジュアル重視の芸術です。

ですから私なんて一発で

「見込みのない子」

で、くくられたはずですし、実際そう思われていました。見た目だけに限らず

「なんで楽しそうに踊れないわけ?」

と言われましたし、自分をうまく表現出来ませんでした。

こんな大人になった今ですら

「あなた、たいした顔してるわけでもないのに、よくバレエなんて出来るわよね」

みたいに言われましたから(笑)

はい、ごもっともです。否定はしません。ブサイクでゴメンなさい。

親から譲り受けてしまったDNAは仕方がない。整形でもしたほうが良いのかな?整形したらご報告しますね(笑)

冗談はさておき…

そんなブサイクな私でも、受け入れてくれるバレエ団はありましたし、認めてくださる方はいました。しかし、私自身が誰かに

「見込みがある」
「見込みかない」

で判断してしまったら、それは私の人生ではなく、他人の敷いたレールに乗っかっているだけ。

ですから占いにしても、何にしても、ポジティブ要素だけピックアップすれば良くて、自分の気持ちがダウンするような情報はシャットアウトすればいいと思います。たとえば

「今年こそいい年にしよう!」

と意気込む年始に

「今年はやることなすこと全てダメになる」

みたいに占い師に言われて、その占い師を信じてその年一年をダメと思うか、そんな占い師の情報をシャットアウトするか…私はそんな占い師の根拠もないネガティヴ予言なんて信じないほうが良いと思います。

見込みがある、と自分が思えばある。
ある、と信じられなければ、ないんです。

要は何を信じるか、信じないか、です。

アドバイスはもちろん聞けばいい。しかし、アドバイスは所詮人間が言ってるだけであり、神の声ではない。

「こんな泣いてばかりの子、どうせダメよ」と言われた幼少期…

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その40年後にヴァルナ国際バレエコンクールの審査員を務めました。

ブサイクですし、身体の条件も悪いし、頭も良くない私ですが(笑)

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いま悩んでおられる親御さんに、これだけは言わせてください。

見込みがある、ない、を決定する権限は誰にもないんです。

そして相手は子供ですから、ある日はバレエ大好き、ある日は大嫌い、をその日の気分で日替わりメニューで言います。ですから子供の言う言葉に振り回されるのではなく、まして第三者の言う言葉にも振り回されないことが、ピンチを乗り越える方法か、と思います。

私も「見込みのあるバレエ教師」かどうかわかりませんが(笑)少なくとも、誰かに「見込みがある」「ない」と指図されるような人生ではなく、しっかりと自分の足で歩んでいくことを大事にしたいです。

なぜなら誰かに「バレエをやれ」と言われたのではなく、自分がやりたかったから、続けていたわけですから…

1日1日、バレエを愛していきたいです!

左右木健一