明日が節分ということもあり、なんとなくこの時期になると立春に向けて年末のように節目を意識して掃除をしたりするのですが…
そんななか、ずっとずっと捨てられないでいるものを見つけました。1枚のLPレコード。
「ラ・シルフィード」の全曲盤。右下、石丸電気のカバー文字が見えますか?私が小、中学生の頃はこのような輸入盤のバレエ音楽のレコードを買うなら石丸電気でした。わざわざ秋葉原まで行き、3時間も4時間もお店に入り浸り、悩み、お小遣いで一枚購入するのが当時の私の楽しみでした。
もちろん我が家にはレコードプレーヤーはありません。ですからこのレコードは必要ないですし、断捨離の規則だったら
「一年使わないものは不要物、捨てろ」
という対象になるでしょう。しかし、最近思うのは、なんでもかんでも断捨離、断捨離ということをしてしまうと、その頃の良き思い出すらも断捨離してしまい、若い頃の謙虚な気持ちを思い出すことすらも出来ず、傲慢になってしまうのではないか、と。
LPレコード一枚買うのに3時間も迷う、なんてことは今ではないですが、たぶん物事を決めたり、何かを手に入れたり、手放したりすることに関して
「そんなに簡単に決断するの?もう少し迷ってみたら?」
と、このジャケットの絵が私に語るような気がするんです。なので、捨てられませんし、オークションに出す気にもなりません(笑)
震災後から、何かを変えたくて色々な断捨離を決行しましたし、おかげさまでここ数年、公私共々スッキリとした無駄のない生活を送っていますが、自分が苦労して手に入れたものは(たとえそれが無用の長物であったとしても)初心に戻りたい時こそ、棚から引っ張り出してきて、いまの自分に
「子供の頃の謙虚な心を思い出せ!」
と喝を入れたいと思います。
左右木健一