ちょっと仕事がらみで劇場をあれこれ調べなくてはいけないことがあったのですが、調べていると面白いくらい自分の元職場だったり色々画像が出てきて…昔の記憶は手元に写真がなければ忘れてしまうものですが、あると本当に蘇りますよね。

そんななか、いくつかご紹介したいものがあります。

まずは私が4歳の頃、初舞台を踏んだ劇場。
神奈川県立青少年センターホール。ほぼ毎年このホールで発表会があり、とても神経質だった私は本番のときはほとんどご飯を口にしませんでした。今では本番前にガツガツ食べてしまいますが(笑)この劇場を見ると、そんな幼少期のドキドキワクワク感を思い出します。

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そして韓国のユニバーサルバレエ団の本拠地。ユニバーサルアーツセンター。日本で一番立派だった東京文化会館しか知らなかった私は、あまりにも煌びやかで立派な劇場で「くるみ割り人形」を二週間で24回公演したり、劇場隣が稽古場だったり…何もかもが恵まれた環境に16歳の時に飛び込めたのが、その後の自分を変えたと思います。

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そして香港バレエ団の本拠地は二箇所。まずは香港芸術中心。目の前がスターフェリー乗り場。私が住んでいたのは香港島でしたので、九龍側に建つこの劇場に通勤する際、フェリーで通うこともありました。

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もうひとつの本拠地、香港演芸学院。こちらは香港島の湾仔という場所にあり、今年の8月に伺う予定です。

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しかし、こんな立派な劇場にも関わらず、毎回客席は空席が目立ち、当時の香港ではバレエが盛んではなかったこともあり、私は香港を離れました。香港のような都会でなくてもいいから、とにかく満席の劇場で踊りたい…

そう考えて移籍したのがザルツブルク州立劇場でした。年間150回近く公演があり、しかも新作の振付となれば舞台の上で振付してしまったり、など、それこそ考えられないくらい恵まれた環境…居心地のよさ(お給料やボーナスの良さプラス有給休暇2ヶ月!)で5年間も暮らしてしまいました。

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ちょうど左手に見える扉が、男性楽屋に繋がる階段のある所。なので毎朝舞台を横切り楽屋で着替え、舞台を横切り稽古場に繋がる反対側の階段に、の毎日。

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ザルツブルク時代にはツアーもあり、クラーゲンフルトという町でホテル暮らしをしながら公演をこなしたこともありました。本当に劇場以外何もない田舎町で、気が狂いそうでしたが(笑)

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こんな環境が当たり前になってしまったせいか、自分自身が舞台で踊る意味を見出せなくなり、31歳で舞台で踊ることに興味がなくなってしまったのですが…

海外のダンサーたちが現役引退後、いきなりシフトチェンジして医者や弁護士になってしまうのも理解出来ます。日本と比べて環境が整いすぎているんです。

ですから、環境が整っていない日本のほうがバレエが盛んなのも理解出来ます。劇場がすくないからこそ、劇場と稽古場が隣接していなくても、国や学校教育が芸術に無関心であるからこそ

「じゃあ頑張ってやろうじゃないか」

みたいな精神が芽生えてくるのかも知れません。

仙台は年に1回の発表会の会場を確保するために、ひどいときは倍率100倍の抽選に当たらないと劇場を確保出来ませんし、東京も青山劇場、ゆうぽうと、など、バレエには欠かさない劇場がなくなります。

だからこそ、劇場が確保出来たこと自体を有り難いと思い

「頑張ろう!」

と、うちの生徒には自覚して欲しいと思います!

左右木健一