今日から毎年恒例の(公社)日本バレエ協会東北支部バレエコンクールが開催されております。

{9A2A6647-F2A1-4EAD-97BE-BF4ACFE40406:01}


私も予選、決選の審査員を務めてかれこれ9年近くが経ちますが、昨年から予選に通過しなかった方へのアドバイス、というものも担当しております。

予選に通過しない、イコール、バレエに向かない、などといった間違った解釈をしないでもらうだけでなく、いかにヴァリエーションを一曲舞台で踊れることが有意義で楽しいことか、を皆さんに説明をしています。

まず、バレエのコンクールはオリンピックではありません。そのコンクールで受賞したから、と言っても何も将来の保証はないです。しかしバレエを知らない学校の先生から

「大会で賞をとりなさい」

など、というプレッシャーをかけられ、賞を受賞しないと

「ならば勉強に専念しなさい。バレエは区切りをつけなさい」

などと言う学校の教師もいるみたいです。

まず「大会」などと言う言葉自体が間違っています。バレエはスポーツではありません。

まして、バレエがダメなら勉強…なんて、まるで逃げです。今現在バレエ団で活躍している方のなかでは大卒のダンサーも大勢います。もちろん中高時代は学校の先生に嫌みを言われ、大変だったみたいですが、立派に両立している人たちは多いです。

ですから今日も

「コンクールの結果だけでバレエに区切りはつけないで!」

と言いました。もちろん予選を通過出来ないのは辛いです。私も10代の頃、予選落ちして落ち込んだこともありましたが、しかし誰も

「おまえはバレエに向かない」

とは言いませんでした。言われた、としても辞めなかったでしょう。

とにかくバレエが好きでしたし、あまり先のことは考えずに、ひたすら日々のやらなくてはいけないことをこなしていました。

占い師ですら、明日地震が来るなんて予告出来ません。ですから一体誰が将来を保証なんてしてくれるんでしょうか?

先のことはわからない…そして先の計画を立てていたって見事に崩れ落ちてしまった経験は3年前に日本国民全員が味わったはずです。

「今日、惜しくも予選を通過されなかった大勢の皆様、どうか落ち込まないでください。自分を責めないでください」

と、審査終了後に伝えました。

バレエは楽しいものです。もちろん手に届かなくて気が遠くなることもありますが、必ずその苦労は報われる日が来ます。

そして、国際バレエコンクールなら25歳まで。国内のコンクールだって40、50歳で参加している人はいません。出場できるのはごく限られた時間しかないんです。

「大学も卒業して、社会人になって、落ちついたから、またバレエでもやって、昔みたいにヴァリエーション一曲踊ろうかな?」

と言って踊らせてくれる場所はほとんどないです。あったとしても10代の頃の体力はないですから、そうとうにハードです。

コンクールに出られるうちが華です!

どうか、その限られた時間を楽しんでください!

左右木健一