Soki Ballet Internationalは、来年で30周年を迎えます。29周年目となる今年、私にとって大きな決断をしました。
14年間封印していたブルノンヴィル作品『ナポリ』を再演します。
開校した1997年、私はまだ現役ダンサーでした。右も左も分からないままスタジオを立ち上げ、やがて現在の泉パークタウン寺岡の土地と出会い、1999年にスタジオが完成しました。
当時は「良い」と思っていたレンガの建物が、だんだんと重く感じられ、今ではこのようになりました。
それから月日は流れ、2011年3月11日。
東日本大震災が発生しました。
本来であれば、その年の3月31日に発表会を開催する予定でした。しかし発表会どころではなくなり、先の見えない状況の中で途方に暮れたことを今でも鮮明に覚えています。
その時、上演する予定だった作品がブルノンヴィルの『ナポリ』でした。2010年から準備を重ね、生徒たちと共に積み上げてきた作品です。
震災によって上演は叶いませんでしたが、翌2012年、奇跡的に会場を確保することができ、『ナポリ』を上演することができました。
私自身にとっても、12年ぶりの舞台復帰となる特別な公演でした。舞台は大成功でした。
しかし、その後『ナポリ』は封印されます。
理由は単純…難しいからです。
テクニックだけでは成立しません。
日々の積み重ね、音楽性、集中力、仲間との信頼関係、そして舞台に向かう姿勢まで含めて求められる作品だからです。
生徒たちのレベルが高いだけでは足りません。毎日のレッスンにどう向き合うか?そこまで問われる作品です。
だからこそ、この14年間、再演することはありませんでした。
ですが今年、その封印を解いてくれたのが、今スタジオに在籍している生徒たちです。この子たちは最低週5回、1日に2クラス受ける子は週8回、プラス個人指導も受ける子たちで、昨日も個人指導が終わったあと、ずっと自習していました。
怠けない。甘えない。言われる前に自分で考えて行動する。私が見ていないところでも努力を続ける。
そんな姿を日々見ているうちに、ふと思いました。
「今なら、この子たちに踊らせたい」と。
バレエは不思議な芸術です。普段のレッスン態度が、そのまま舞台に現れます。どれだけ取り繕っても、本質は隠せません。見る人が見たらわかります。
しかし表面上「出来てるフリ」「努力しているフリ」が見抜けずにいる人には、華やかさだけで人を騙すことはできます。
しかし、それだけでは長く続きません。軽く華やかさだけに惹かれてスピーディーに集まった人は、そのスピードと同じくらいにいつかは離れます。人は騙せてもバレエに対して嘘をつくのが限界だからです。私はこれまで何十年も、その光景を見てきました。
一方でブルノンヴィル作品は真逆です。
派手さよりも誠実さ。見せかけよりも積み重ね。日々の努力がそのまま舞台に映し出されます。だからこそ難しい。そして、だからこそ美しい。
14年間封印していた作品を、再び舞台へ。
2026年11月15日。
東京エレクトロンホール宮城で「ナポリ」が帰ってきます。
私自身、とても楽しみにしています。
左右木健一




