今日は、検体検査(採血)と待ちに待ったペットCT検査結果を知る為、大学病院へと向かった。

 

身体はだるく、足取りは重い。

 

これは決して、病魔が原因で体調が悪いのではなく、断然この異常な猛暑の所為であると、繰り返し、励まし説得し続けている自分がいるから、面白い。

 

何のことはない、それは、ご丁寧にも自分で作り上げた取り越し苦労を、否定しょうとする、小心翼翼たる自分の姿に過ぎないのだ。

 

やっと順番が来て、診察室のドアを開けると、先生がコンピュータに写された映像に向かって待っていた。

 

緊張が走る。

 

画面には、私の白黒の全身の映像が見える。

その所々に、赤く染まった部位を見ることが出来る。

先ず上から、頭部は全体的に赤く染まっている。

そして、心臓部と、腎臓の一部に、それが見られる。

そして、膀胱が、溜まった尿の所為であろうか、赤く染まって見えた。

 

「これはね」と、先生が口を開いた。

「このペットCTは、全身の癌検査で、大まかに癌の移転があるかないかを判断するもので、この特に赤く見える頭部と心臓は、絶えず活発に動いていて、検査薬に含まれる葡萄糖を沢山消費しているからです。」と、おっしゃって私に顔を向け、

「癌もね、葡萄糖を好み、赤くなるのです。」

 

せっかちな私は、すぐさま

「それでは、この腎臓と膀胱の着色は、どう言う意味があるのですか?」と質問した。

「そうこれはね、排出された検査薬が溜まっているのですよ。」

と、にっこりしながら答えられた。

その先生の笑顔の中に、私は、咄嗟に確かな救いを見てとった。

 

「今回のペットCTの検査では異常は見当たりません。肝臓も、肺も正常ですよ」

 

「ありがとうございます」が頭を下げて声になる。

 

油断大敵!

一週間後の九日には、この結果を携えて、QST病院(重粒子線治療)に行き、再度より精密なCT検査をする事になっている。

 

先ずは、敵を土俵際迄追い詰めた。


欣喜雀躍、帰りの足取りは軽かった。

 

妻とデパートに寄り、大好きな煎餅、小倉山荘「嵯峨の焼」を買う。