力を注入して劇団へと出かけた。

久しぶりに、養成所二期生の修了公演を観劇する為、ティーエスワン服用期の気だるさを抱えながら、劇団の稽古場「pit昴」へと向かう。

去年は私も一期生の修了公演に関わっただけに、余計に愛着が湧いてくる。

 

池袋から東武東上線に乗り換え、大山駅に降りる。

 

 

50分も早く着いた為、駅の近くの昭和の雰囲気をそのまま保ち続ける、私のお気に入りの喫茶店に入る。

食器棚に並べられた、コーヒーカップが素晴らしい。

この様な昭和の記憶を留めた、喫茶店に出会うことも現在では少なくなった。

 

 

 

 

 

 

 

幕が開く。

小さな稽古場に若い声が破裂する。

 

芝居の良し悪しはさておき、生徒達の情熱を感じる一方で、彼らの将来の姿に思いを馳せ、いやがうえにも不安感に襲われる。

 

アルバイトに追われながら、明日への確たる希望も持てず、この厳しい世界をどう生き抜き、いつまで続けて行かれるのか、それが気がかりでならない。

 

それにしてもコロナは御多分に洩れず、演劇界をも傷めつけた。

劇場への客足は減り、劇団経営は益々困窮を極める。

 

 

終演後、この稽古場を懐かしむかの様に一人残り、この稽古場にいつまでお世話になれるのかと、決して杞憂だとは言い切れない先行きの懸念に囚われるが、ここで感傷に浸ってばかりでは何も生まれはしまい。

 

私に出来る事を,最後まで成し、伝える事を伝え残し、せめて貧者の一灯としたい。

何とも心のうずく一日だった。