病魔と剣を交えた前半戦の勝負は、どうやら私の方に有利に進んでいるようだ。
病のことはもう触れまいと、半ば諦めに似た心境だったが、重粒子線治療終了三ヶ月後の最初の検査結果が極めて順調だと知り、ブログを読んでくださる方々にご報告しようと思い立った。
CT、採血の結果は、さしたる異常は見当たらない。
少々貧血傾向あり。
腫瘍も大きくなってはおらず、今の所、転移は見られない。
正直なところ、この日迄の三ヶ月間、戦々恐々、不安で落ち着かない軟弱な自分の姿を見せつけられた。
すでに、これまで幾つもの手術を受けては入院し、その都度、数えきれない程CT検査も受けできた。
暗くて狭いCTドームの中に横たわる私に、マイクの声が響く。
「息を吸って、そのまま止めてください!〜はい!楽にして下さい」その都度、ドームが上下に移動して放射線での撮影が繰り返される。
そして検査途中に造影剤が注入されるが、これが、厄介なのだ。
顎あたりから顔へと、かあーっと熱さが襲い、やがて全身へと拡散して行く。
それにしても、これほどまで大量の放射線を浴びれば、当然免疫力は低下し、敵に塩を送るにも等しい愚行ではないかと、ふと疑問を感じつつも重粒子放射線治療を受ける自分が何とも不可解である。
そうだ、せめてこれからはCT検査からMRI検査にして欲しいものだ。
あれは磁気だから安心だ。
今度は医師に、その旨お願いしてみよう。
そうだそれが良い。
何の根拠もなく、一人勝手に納得して悦に入ってる自分が陳腐で恥ずかしい。
だが,当然そうは問屋が下さないのだ。
MRI検査とて、決して楽ではない。
防音のためヘッドホーンをして音楽を流すものの、そんなものはお構いなし、カンカン、ガンガン、トントン、コンコン耳をつんざかんばかりの、うるささなのだ。
話しが見事にそれた。
検査終了後、医師から、まず順調な経過報告事を告げられた後、これは決して根治したのではなく、これから、いつ転移が現れるかわからないこと、3ヶ月点検はこれからも続けていがなければならない事、重粒子治療の副作用はこれからも一年かけて現れる。
骨や腹部に異常を感じたり、便が黒くなったらすぐ連絡するようにとの注意を受けた。
最後に冷たい鉄の釘を打ちこまれた感じだ。
私の場合、所詮は、老化という普遍的機構に戦いを挑む、儚い抵抗だろうか。
もしそうであったとしても、益々、進取果敢に歓声をあげて前へと突撃して見せると意を決している。
しかし、私とは比較にならない程、苦痛を伴う検査や、治療を受けながら病魔に敢然と立ち向かっている方々がいます。
その方々の、苦痛と不安は計り知れないものがあります。
それを思うと言葉を失います。
御回復を心よりお祈りするばかりです。
重粒子放射線治療終了後3ヶ月ぶりに、QST病院を受診。