やっと幕が上がり、
やっと幕が降りました。
ホッとして、息が漏れます。
いやはや、コロナ禍での舞台造りには、ほとほと難渋しました。
チームの魂を込めて焦心苦慮したこの『一枚のハガキ』を、何としても成功させなければなりません。
新藤兼人監督の反戦への強い思いに共感した私が、氏の精神の一端でも受け継ぐ事ができればと願い選んだ作品です。
奇しくも、コロナ禍のため一年延期せざるを得なかったこの作品が、プーチンのウクライナ侵攻と言う愚劣な暴挙と重なったとは、なんとも皮肉です。
全員がマスクをしての稽古場はまるで病院の様です。
声はくぐもり、俳優陣は相手役の表情を図れず、困惑しながらこの艱難辛苦を乗り越え見事打ち勝ちます。
お陰様で好評を頂き、劇場に足をお運びくださったお客様には、伏して感謝の意を表します。
そして、有田神楽団の立盛翔太氏に直接大蛇踊りやお神楽のご指導を頂いたことで、この舞台を一段と昇華することが出来ました。ありがとうございました。
数人の俳優陣がコロナに罹患したり、私自身が急性膵炎で急遽入院と言う不運に襲われたりと一時は絶望的になりかけたこともありました。
最後のコロナ罹患者、泣いて馬謖を斬る、配役交代と言う不運も経験しました。
さて、これからは、先人達の教えを、都合よく不確に注入して「劇団昴カラー」と言う得体の知れない存在を造り上げた歴史の澱を希釈して、時代と共に鮮度の高い劇的空間への創造に挑戦する事を待つばかりです。