劇団昴の岡田吉弘君が、俳優座劇場プロデュース公演、メアリー・チェイス作、西川信廣演出の『ハーヴェイ』で、オンライン映画演劇大学、2016年度英米演劇大賞の助演男優賞を受賞しました。(20161117 () 20161127 ()まで上演)

嬉しい限りですね。

私も、大好きな俳優さんの一人で、今回の『ふくろう』にも、出演してもらっています。

 

左から、岡田吉弘君、市川奈央子さん、立花香織さん。

 

 

ちなみに、「ハーヴェイ」のパンフレットに寄稿した私の拙文を紹介します。

 

「同士岡田吉弘君」

岡田吉弘君との四十年近くの劇団生活で、彼との共演は今年一月の『街と飛行船』が初めてである。つまり、私は彼を、観客の立場から見続けて来た事になる。若い頃の彼は、特に喜劇に於いて才器を現し、類型を裏切る発想と、その「間」の良さは、客席の笑いを大いに誘ったものだ。そして、歳を重ねると共に、常に、自分自身に真摯に向き合う、彼の精神生活が、独特の感性を生み、真面目で素朴な、揺るぎない存在感を我々に印象づけた。

六十半ばにして、アルバイトをしなければ、芝居を続けられない、この理不尽な現実の不当な仕打ちに、やるせなさを感じつつも、黙々として、努力を怠らない。彼は、科白をただ綺麗で流暢に、調子をつけて喋ることを避け、己に問うように、科白に深く問いかける。例えそれが不器用と言われても、そこには、巧さや器用さを遙かに凌駕する、確かで豊かな不器用さがある。西川信廣氏の演出で、岡田吉弘君の新たな誕生を、楽しみたい。

                                 北村総一朗