「70からはやけっぱち」という、野際陽子著作の本が送られてきた。

肩の力を抜いた、気取りのない自然な文章の運びは、品格があり温かく、まるで、話しかけてくるような響きだ。それは、夏の晴れた日の午後ストローで飲む、アイスコーヒーのように爽やかだ。

犬やカモメや虫に抱く彼女の感性の豊かさに驚かされ、その優しさは、リアルで感動的だ。

そして、ご自身が描いた水彩画も掲載されていて、その繊細で、誠実で、決して出しゃばらない、みずみずしい筆触は、癒しを与えてくれる。

高齢者向きの筋トレを写真付きで紹介したり、バラエティーに富んでいる。

自分を怠け者と諫めながら、その実、それをバネにして、努力する姿は眩しい。



才色を兼ね備えた野際陽子という女優の、79歳になっても尚現役で、しかも第一線で活躍している所以が、なるほどと理解できる。

読みながら、十数年間、京都で仕事を共にしてきた思い出が自然と蘇り、かくも素晴らしい女優さんと共演出来たことが、いかに贅沢な事だったかと今更ながら気づかされ、なんとも歯がゆい思いでいる。



若い人にも是非一読を勧めたい。






70からはやけっぱち