『原爆死の真実』~最大の苦痛を与えて人を殺す原子爆弾 | 明日を夢みて

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男性が好きな男性です。試される大地に住みながら、ゲームをしたり、本を読んだりして、試されています。チョコレートのように甘~いブログを目指します(*´ω`)

 アメリカがヒロシマに原子爆弾を投下してから、73年が経ちました。

 当日、きのこ雲の下で何が起きていたのか。

 

 映像は残されていません。

 また、爆心地付近の写真もありません。

 

 8月6日、広島で撮影された写真は、世界で5枚しかありません。

 中国新聞社のカメラマンだった松重美人さんが撮影されました。

 そのうち、2枚が御幸橋で撮られており、被爆者の姿が写されています。

 

 この写真については、以前にこのブログでも紹介しました。

 

 『なみだのファインダー』~原爆投下当日のヒロシマを撮る

 https://ameblo.jp/sohsugay2525/entry-12187329705.html

 

 この写真を動かしてみて、被爆の実相に迫ろうと制作されたのが、「NHKスペシャル きのこ雲の下で何が起きていたのか」という番組です。

 

 

 そして、この番組が『原爆死の真実』と題して書籍化されました。

 

 

 この番組や書籍では、爆心地から2kmまでが、「壊滅地帯」と表現されています。

 そして、この御幸橋は、爆心地から2.3kmの地点にありました。

 文字通り、生と死の境目であった訳です。

 

 この番組では、生存者の証言を元に、2枚の写真がCGで再現され、映像化されています。

 若い人に、被爆体験を伝えようという意図もあったようです。

 

 実際に、その映像も視聴しましたが、胸が潰れる思いでした。

 動いたり、声がついたことによって、より胸に迫ってくるものがありますね。

 

 パッと見ただけでは、白黒で解像度の低い写真なので、鮮明ではないのですが、大火傷を負った人々や、皮膚が剥けてしまい、両手を前にして歩いている人も写っていることが分かりました。

 

 この番組は、「科学の力」で原爆の実相に迫ろうともしています。

 原爆炸裂後、放射線が人々を襲い、続いて熱線が人々を焼き尽くしました。

 

 照射時間は、ほんの数秒だったにも関わらず、地表の温度は3000度にも達しました。

 その結果、「フラッシュ・バーン」と呼ばれる原爆特有の熱傷を人々に負わせました。

 

 表皮と真皮で構成される皮膚のうち、表皮が剥がれ、真皮層にある痛覚神経の感知部分がむき出しになると考えられます。

 日本熱傷学会の理事である原田輝一医師は、「相当痛いと思います。痛覚神経を刺激していると思いますから、おそらく人間が感じる痛みのなかで、最大の痛みを感じていたのではないかと思います」と語っています。

 

 人間として最大の苦痛を受けながら、死んでいった人々――。

 原子爆弾は、大量破壊兵器であるのみならず、これ以上ないというくらいの惨たらしさで人間を殺す兵器であるということが、世界で広く認識されるべきであると考えます。

 

 証言された被爆者の方の中には、70年経ってようやく口に出せるようになった記憶を語る方もいらっしゃいます。

 また、この写真に写っていた河内光子さんは、このように仰っています。

 

 ほとんど死んでおられるんですね、あの中の人はね……。私はどうして生きたんですかね。どうして助かったんかね……。はあ。自分が生きとるのが、なんか申し訳ないみたいなんですよ……。でも、生かされとるんですね。こうやって、伝えるためですかね……。分からんですがね。

 

 

 原子爆弾は、生き残った人々の心身をも、苦しめ続けています。

 

 最後に、この写真に後ろ姿が写っている坪井直さんの言葉を引用します。

 坪井さんは、就職や結婚など、様々な場面で差別を受けてきました。

 オバマ大統領がヒロシマを訪問した際には、面会されています。

 

 とにかく、人間の命が一番大事なんだ。これが一番だ。命を大事に、命ある限り生きていこう、それが一番で私の中心。あなた方も、とにかく生きていこう。命を大事にしてくれ。相手の命も大事にせにゃいかん。それを、私はあの頃からずーっと一本通しとる。どんなときでも命は絶対大事。その命の取り合いをする戦争なんて、もっての他である。

 

 どんな人間に対しても、おい、おまえも人間じゃないか。俺も人間じゃいうんで手がつなげるようにならなきゃいけない。男性、女性もない。歳が多い少ないもない。どこの国の人間かでもない。人類。自分の思いだけでなく、相手のことも考えられるような、そういう人間に私はなりたい。

 

 諦めが一番いかん。相手がおかしいやつだからと諦めるんじゃない。ネバーギブアップ。最後まで諦めるな。