総選挙の告示日まで、かなり時間がありますが、事実上の選挙戦は今日からです。
 昨日の解散から各候補者(前議員ですが)は、地方に戻り今日から挨拶回りに忙しいと思います。
 そう考えると、民主党は急な解散により後手後手に回った感があります。
 第3極の各政党も同じくです。
 逆に自民党は準備万端といった風に思えます。

 自民党は3年前の選挙の時には大物議員が軒並み落選の憂き目に会いましたが、今度はどうやら民主党のようです。
 首相経験者の議員でも落選するかもしれません。
 鳩山・菅元首相などです。
 また、野田首相でさえ、どうなるかわかりません。

 自民党に比べ、風に弱いのが現在の民主党です。
 無党派層というのは風見鳥と一緒で、風が吹けばそちらの方を向きます。
 その無党派層頼みで勝ったのが前回の総選挙であり、
 それから、民主党支持層を増やすことを怠っていたといいでしょう。
 
 自民党も小泉さんが自民党支持層を徹底的に破壊しました。
 だからこそ、前回の選挙では向かい風に勝てず敗北しました。

 政党というのは、選挙を勝つ上で、やはり自分の支持層を作り上げ、
 それに対して、常に理念やら政策を発信し、それに準ずる政治をやらなければ、
 選挙という荒波を生き残るのは難しいと考えます。

 今回の選挙で民主党は大敗北を喫すると思いますが、
 民主党に変わる政党が健全野党として出てくるのか、
 もしかすると、民主党が生まれ変わって本当の国益にかなった政党になるのかはわかりませんが、
 大事なのは、選挙が終わった時点から次の選挙への戦いが始まるということです。
 
 その時は、自分の政策・理念を支持してくれる層を作り上げ、風に強い政党を作り上げて欲しいものです。
 少なくとも、ポピュリズムの権化にだけはなってほしくありません。
 新自由主義は経済成長を鈍化させると前回のブログ記事で書きました。
 
 新自由主義が掲げるマネタリズム(貨幣供給による名目GDPのコントロール)は、現在のグローバル経済を席巻し、大きな負の作用を起こしました。

 マネタリズムとは簡単に言うと、貨幣の供給量を調節するだけで名目GDPのコントロールできるという主張です。

 しかし、これはある意味正しく、ある意味間違いです。

 なぜなら、供給された貨幣が名目GDPを上昇させるための有効需要に使われるとは限らないからです。

 例えば、不動産や株などの金融資産の購入などに供給された通貨を使われれば、名目GDPは通貨供給量と連動しなくなります。(不動産や金融商品の購入はGDPには直接反映されないからです)

 そして、名目GDPが国の金融政策と連動しないので、政府はよりいっそう通貨の供給量を上げる政策を取るようになります。

 こうなると、さらに不動産や金融商品に流れ込む通貨の量は増え、バブルを起こしやすくなります。

 これが、ITバブルであり、リーマンショック(不動産バブル)であり、食糧価格高騰にもなったのです。

 私は、金融政策を否定しているわけでは有りません。

 ただ、マネタリズムのように金融政策だけに比重をおいた政策は害悪になると考えています。

 ここで大事になってくるのが、財政政策です。

 ただ、通貨を供給するだけでは、あらゆるところにバブルを起こすわけですから、直接GDPに反映するようなものにその金を使えばいいわけです。

 とくにデフレの時は民間の投資意欲は減少しており、政府が投資するしかありません。
 
 政府が公共投資をすれば、確実にGDPは上がります。

 金融緩和による経済の不安定化も押さえることができます。

 政府は金融緩和をし、その金を政府にしかできないインフラ投資や基礎科学への投資などを積極的に使い、早く日本は前に進むべきなのです。
 最近、「新自由主義」について深く考えることが多くなりました(フリードマンを読んだせいもありますが)

 その結果、行き着いた考えが、「新自由主義は長期的には需要を抑制し、経済成長を鈍化させる」というものです。
 
 自由と不安定は表裏一体です。

 不自由と安定も表裏一体です。

 新自由主義は既存の規制を可能な限り取り除き、経済活動の自由を増やそうという考えです。
 そうすれば、経済は活性化され最大化するという考えです。

 でも、考えてみれば、経済活動の自由を拡大すれば、その不安定さも拡大します。

 不安定な経済は、短期的な利潤に走りやすく民間の長期投資は抑制されます。

 長期投資を政府が担えばいいのですが、「小さい政府」を標榜する新自由主義のもとでは難しいですし、政府による投資はインフラ関連はまだしも産業投資はパフォーマンスが低く、長期的な経済成長の鈍化の要因にもなりえます。

 そして、市場主義経済に偏重するので、富裕層に富が集中し、中間層の富が減少し、貧困層が拡大します。

 これは、物やサービスの交換を鈍化させ、ひいてはその生産を抑制していきます。

 政治においても新自由主義は変化を求めます。

 間接民主主義の弱化と直接民主主義の強化です。

 より自由であるためには、あらゆる社会・共同体の束縛が邪魔になります。

 それらを取り除き、自由であろうとすると、個人は不安定化していきます。

 そして、その不安定化した個人と政治を直接結びつけようとします。

 政治も不安定化してきます。

 こうやって、社会も経済も不安定化していくと経済成長は鈍化を余儀なくされていきます。

 でも、ここで新自由主義のたちが悪いのは、金融拡大政策と結びついたことです。

 経済成長が鈍化すれば、どのような政治体制も維持が難しくなりますが、金融拡大政策によってその本質を誤摩化し続けてきました。

 結果、実質的な経済成長は鈍化しているのに、バーチャル経済は拡大し続け、バブルを頻繁に起こし続けました。

 しかし、結局は長期的に見て新自由主義は経済成長を鈍化させているのは変わりません。

 ここからが、本題です・・・w

 経済成長は本当に肯定されるべきことなのか?

 経済活動にはエネルギー消費が伴います。

 近い将来、そのエネルギーの多くの割合を占める化石エネルギーが枯渇するのは間違いありません。

 温暖化という問題もあります。

 経済成長が最大化するのは、程よい安定、程よい自由が社会が必要です。

 しかし、それで経済成長が最大化すれば、消費されるエネルギーも最大化されます。

 それでいいのでしょうか?
 
 経済成長を是とする考えと相反する考え方でありますが、こういう疑問が私の中ではあります。

 と同時に、その解決策としては、新エネルギーや新エネルギー効率技術への投資しかないというのも私の考えなのです。そしてそれに必要なのは、基礎科学への潤沢な投資であります。

 それらを行うには、やはり経済成長の拡大しかありえないのです。

 パラダイムシフトを行うにも経済成長は必要なのです。