読書時間:4.5h
一読:あり
再読:なし
R指定:なし
著者:前野ウルド浩太郎
刊行:2022年5月
価格:1060円+税
出版:光文社新書
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サバクトビバッタ研究の顛末1
運命との出逢い
黒き悪魔を生みだす血
代々伝わる悪魔の姿
悪魔を生み出す謎の泡
バッタde遺伝学
悪魔の卵
相変異の生態学
性モザイクバッタ
そしてフィールドへ
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サバクトビバッタはときどき大発生して、農作物を食い荒らす
被害が甚大なので、バッタ研究の成果が期待されている。
サバクトビバッタは通常は緑色で害はないが、大発生するときは黒くなる。
緑色の状態を孤独相、黒色の状態を群生相という。
混み合っていれば黒い悪魔(大きい卵)が生まれてくるわけだが、混み合っているとはどういう状況なのか。
性成熟したオスに何時間か(忘れた
)触れると、メスは混み合っていると思うらしい。
オスのホルモンだけでは群生相にはならず、蛍光塗料程度の光も必要である。
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研究には失敗がつきもの。
本書の顛末は、あとに続く研究者たちの参考になると思う。
まさに「巨人の肩の上に立つ」だが、あとに続く人がいるのだろうか。
著者はバッタの大発生は抑えても絶滅させる気はない。バッタが好きすぎるからだ。
バッタが好きすぎて、研究環境が苦にならないくらい好きでないと、あとには続けない。
休みの日もエサやりは欠かせないし、おそらく収入も高くない。
著者は日本学術振興会の特別研究員に選ばれ月給36万円を得たが、そうでなければもっと低いだろう。
研究が物性物理のように思えたのも(私的な感想です)、あとに続けないと感じてしまう。
成熟したオスのホルモンと光、つまり、物理的刺激と視覚的刺激が合わさることで、サバクトビバッタは群生相化する。
昆虫に視覚的刺激が必要というのが腑に落ちない。
理論物理学のように先に予測があるのではなく、試したら分かりました的な。
群生相化に関する遺伝子を突き止めてオフにするなら、チャレンジしがいがあると思う。
本書のおわりでモーリタニアへフィールドワークに出たので、エピソード2も期待です
