いのちを”つくって”もいいですか? 生命科学のジレンマを考える哲学講義 | サンディの今日もワイン

サンディの今日もワイン

サンディがワインと本についてあれこれ言います。

2020年2月3日(節分)サンディは永眠しました。18年間ありがとう。
ひきつづき、ワインと本についてあれこれ言います。

読書時間:3h
一読:あり
再読:なし
R指定:なし
著者:島薗進
刊行:2016年1月
価格:1300円+税
出版:NHK出版
本本本本本本本本本本本

 

小説「すばらしい新世界」と宗教観の紹介
 

序章 生命科学の”夢”と”限界”
1身体を”改造”すれば幸せに?
2「理想の子ども」を選べるなら
3いのちをつくり変えてもいいですか?
4「すばらしい新世界」には行きたくない?
5「いのちは授かりもの」の意味
6小さな命の捉え方
7つながりのなかに生きるいのち
終章 個のいのち、つながるいのち

 

クローン、ゲノム編集、エンハンスメントなど”つくる”はどこまで許されるのか。
宗教や小説を引用した論調が、どうも、

うすい

問題提起には足りず、否定的なだけで明確な否定もない。

日本で認可されてない薬が米国で使用できるように、”つくる”の国際的な線引きができないのは明らかだ。
たやすく”つくる”ことができる世界になっても、みんなそうするわけではないし、問題ないと思っていた。GLOBEの記事「本屋さんにいこう」を読むまでは。
 

『中国で出版を許されない書物は世界全体の出版物のなかで、何パーセントあるでしょうか。ゼロコンマ以下です。世界の古典を含めて良書が手の届く場所にあることは、子供の教育や大人の教養に大きな価値を持つ』

従えないッ!

と思った。つまりは感情だった。
 

”つくる”世界で、従えないのは何だろうと考えたとき、それは、

「捨てる」

引き取られなかったダウン症児、代理出産のあり方に一石

 

朝日新聞 #2015/6/29 によれば、出生前診断を受けた17800名のうち異常は230名。うち221名が中絶。妊娠を継続したのは4名。
異常を持った子が欲しくないのは明らかだが、異常を持った子が生まれても幸せと言える人もいる。

ようこそダウン症の赤ちゃんより
『私たちは娘の存在で前よりずっと強い絆で結ばれています。お互いに強くなり優しくもなれました』

強い絆で結ばれるために娘がいるようにも読める。育てる覚悟がなければ中絶したほうがいい。必要なのは、

「受け入れる」

ことなんじゃぁないか?
 

バリアフリー化で車椅子の移動も自由になってきた。つまり、助けなくても良くなってきた。
ダウン症の人が減ってきたら、助ける体制はなくていい?

”つくる”世界に歯止めをかけられなくても、そこからこぼれ落ちた人を「受け入れる」世界は”つくる”ことができるのではないだろうか。

 

※本書の「受け入れる」は個々の心構えであり、社会制度のような提案はない。