サインペイント(道路標識などを塗る仕事)をしながらギタリストを志す。ある日耳にした(チャーリー)クリスチャンのプレイに魅せられ、その後NY52丁目のバップに接しニューヨークに進出する決心をする。ファーロウが住んだニューヨーク93丁目のアパートには、フィル・ウッズ、サル・サルヴァドール、ジミー・レイニー等が住んでおり、ひんぱんにジャムを行っていた。このアパートへよく顔を出したのがジョニー・スミス(g)、ジョン・コリンズ(g)で、特にジョニー・スミスはファーロウにスケール等多くのアドヴァイスをしており、後年のウルトラスタイルの基礎は、この時に受けたアドヴァイスが大きく物をいっている。

 49年マンデル・ロウ(g)の推薦でレッド・ノーヴォ・トリオに参加し初レコーディングを行う。50年代に入りブルー・ノートに『タル・ファーロウ・カルテット』をドン・アーノンとの2ギターで吹き込む。この時期の演奏は、ミンガスとレッド・ノーヴォのトリオで吹き込んだものよりも一段とスケールの増したものになっている。

 その後54年からはヴァーヴの専属になってリーダー作を発表してゆく。『オータム・イン・ニューヨーク』(54年)、『インタープリテーションズ』(55年)、『タル』(56年)、『スインギング・ギター』(56年)などはすべて絶頂期のファーロウをとらえている。...

 ージャズ批評70『ジャズギター』より

 

 アート・テイタムやナット・キング・コール、オスカー・ピーターソンらが広めたピアノ、ギター、ベースによるトリオ形態。これのギタリスト版がタル・ファーロウ・トリオである。56年から58年に渡ってエディ・コスタ(p)、ヴィニー・バーク(b)を率いたファーロウだが、このトリオによるアルバムは意外と少ない。『タル』、『ザ・スインギング・ギター』、そしてプライベート録音ながらライヴの緊張感が伝わる快作『ファースト・セット』、『セカンド・セット』の四作だ。どれも素晴らしい出来だが、やはり内容の充実度と録音状態のことを考えるとやはり『タル』だろうか。以前はこのアルバムばかりが執拗に復刻されるので、なぜ?と思ったが、今回再聴してやはり、名盤の名に恥じない出来であると確信した。...

 ージャズ批評95『ギタリスト大全集Vol.1』より

 

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 バディ・デフランコがようやく(?)終わりまして、次は誰に...と考えていましたが、この程、タル・ファーロウ生誕100年記念のアルバム再発盤を8枚入手しまして、それなら...ということで、タル・ファーロウを取り上げることにしました。本ブログでタル・ファーロウはすでに3枚紹介済みなのですが、いい機会(?)なので、全8枚、もう一度記事にしてみようかと思っております。

太いシングルトーンで縦横無尽に弾きまくるアドリブには、ジャズの醍醐味がつまっており、どれもが「買って損はない」アルバム群なのです。今度はブランクを開けることなく(笑)書いてゆくつもりですので、乞うご期待(読んでくれる人いるかな?)です。