ブルーノートの三大テナーといえば、アイク・ケベック、ティナ・ブルックス、ハンク・モブレーで決まりだろう。アルフレッド・ライオン(※ Blue Note レーベルの Producer です)が最も愛したテナー奏者達だ。アイク・ケベックのキャリアは殆どブルーノートに占められている。それほど多くはないレコーディングと共に、アルフレッド・ライオンの片腕として多くの若い才能をブルーノートに紹介してタレント・スカウトとしての能力を発揮している。ブルーノートというジャズ専門のレーベルを育てる大きな力となった。
アイク・ケベックがブルーノートにLPという形で発表したレコードは、後に未発表レコーディングということで発売されたものを徐けば、たった四枚にすぎない。彼の死の直前に録音された『ボサ・ノヴァ・ソウル・サンバ』と、その一年前に三枚たて続けに録音された『ヘヴィー・ソウル』、『ブルー・アンド・センチメンタル』、『イット・マイト・アズ・ウェル・ビー・スプリング(春の如く)』。『ヘヴィ・ソウル』と『春の如く』は、録音メンバーも同じで、録音日も一ヵ月しか違わないから、内容的に優劣をつけるのはむずかしい。『春の如く』のタイトル曲がケベックの代表的名演としてジャズ・ファンに愛されることを願って決定盤としたい。
『ボサ・ノヴァ・ソウル・サンバ』には思い出がある。大昔、コルトレーン全盛のジャズ喫茶で、どうしてもリクエスト出来なかったレコードがこれだ。何度リクエストしようとしたか知れないが、ジャズ喫茶のオヤジの不機嫌な顔を見ていると言い出せなかった。誰かリクエストしてくれることを願った。たまたまかかったりすると満員の客が一斉に立ち上がって帰り支度を始めたりする。A面一曲目、ケニー・バレル作曲の「ロイエ」が素晴らしい。全体にバレルの趣味の良いギターがボサ・ノヴァの雰囲気を作り出し、ケベックのテナーもスタン・ゲッツに負けないリラックスした表情を見せている。ボサ・ノヴァ・アルバムの傑作。
— ジャズ批評72『特集テナー・サックス&ソプラノ・サックス Volume 2』より
...
先日、Grant Green は一挙に紹介する旨書きましたが、やっぱり息抜き(笑)が必要で、ここで先日紹介した『Born To Be Blue』で Green と共演した Ike Quebec を紹介します。実は Quebec のことは、上のジャズ批評を記載する前はよく知りませんでした。Ike Quebec(1917.8.17~1963.1.16)はいわゆる BeBop ~ Hard Bop 世代よりも少し年上で、プレイを聴いてもスローテンポの曲は情感たっぷりのソロを展開し、アップテンポの曲はビブラートを利かした熱いブローで聴き手を楽しませてくれます。よく言う Be Bop / Hard Bop とは明らかに異なるスタイルです。今回は、上の記事の通り Blue Note レーベルに残した4枚を取り上げます。どれも熱演で、若くして他界されたのは本当に残念です。Blue Note の4枚は宝物として愛され続けてほしいですね。