異常/犬とハサミは使いよう | 俺とニュースとハードとソフト。

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最近ラノベネタが多いのは、本格的に電子書籍に手を出し始めたから。
いやー、表示がアレでも気楽に買えるのが良いねw

それはさておき、この作品。
未読の場合、そしてこれから読む場合、気をつける点が一点ある。

この作品は、ファンタジーだ。
現代風に見えるが、明らかに、ファンタジーだ。
そして、ギャグだ。

所々シリアス風な部分もあるが、あくまで風であり、物凄い勢いでギャグ。
そして、何もかもが異常。

異常な人物、異常な舞台、異常な設定、異常な展開、異常な顛末。
真面目に読もうとすると置いてけぼりを食らう。
一巻はまだマシだ。読み進めるに従い、どんどん酷くなる。
ただ、何もかもが異常で酷いんだが、ここまで突き抜けていると逆に面白く思えるのが不思議だ。
半端じゃあない。そこまでか、え、なにそれ、と読者がツッコミを入れざるを得ないと言うか。
……爽やかなまでに異常?w

 * * *

内容的には若干出落ち感のある設定。
とある女の子をかばい死んだ少年が犬として復活する。
そして、犬であるからこそ人語を話せぬ筈の少年だったが、そのかばった女の子との間にはテレパシー(と言うか思考が読まれる)的な結びつきがあった……。

……こう書くとシリアスに思えるが、内容はかなりアレだ。
その庇った女の子は犯罪者予備軍で、常時刃物を持ち歩き事あるごとに他人を暴力で従わせようとする異常者。
主人公は読書中毒者で、三日間本を読まないと禁断症状が出て、数ページに渡りただひたすらに「本が読みたい」とか書き連ねる異常者。

二人(一人と一匹?)の関係も凄い。相手は犬なのに婚姻届にサインさせようとしたりするヒロインとか。
いや命の恩人に惚れると言う文字面は良いとして、相手犬なのに。

うん。
酷いw

でも、なんていうか、妙に面白いんだよな。

ただ、惜しむべきにこれは小説で、ラノベ。これ、絶対漫画の方が面白いと思う。
文章でも良いんだが、勢いを表現するにはちょっと足りない。ずどーんとギャグってさらっと流しつつさっさと次へ、のテンポは文章だとちょっと辛い。なにせ本文の大半は主人公のツッコミだし。
文章は別段酷く無く、一人称視点の長所・短所をきちんと利用した展開になっている。ただそれでも漫画に比べれば一呼吸置かれる。
文章に慣れていて、さくさく読めるなら、素直に楽しめると思う。

正直、文章でつっかかったらこれは最後だけど、とにかく予測できない(こともある)不条理な展開はギャグとしては理想的かもしれない。

ただ、人を選ぶかもね。

 * * *

この作品を読んでいて、ふと思い出したものがある。
それは、高橋留美子著、「らんま1/2」。

アレに登場していたよくわからん格闘(茶道で格闘したりフィギュアスケートで格闘したりするアレ)を妙に思い出したんだよなぁ。
突然意味不明なルールとかが常識みたいに語られてみたり。まぁ主人公はツッコミ入れるんだけどw

小説としては珍しい突き抜けたギャグ展開は、ある種新鮮……なのかどうか。
いや、言うほどラノベ読んでるわけじゃないから、案外多いのかもしれない。少なくとも俺にとっては新鮮だった。

こんだけ「娯楽」的小説も珍しい、と言うのが現時点での感想かな?