私は三月二十五日に此処で働き始めた。
初めての週末だったか、宿舎前の県道35号線には雪が積もっていた。
楢葉の道の駅にはサウナがある。私はサウナに入りたかったが、夏タイヤに
換えたばかりの車の運転を躊躇した。
宿舎G棟玄関先で煙草を吹かしていた初老の宿泊客と会話する。
「一寸走ってみて急ブレーキをかけるといい。そう滑らなかった大丈夫」
彼は青森出身だった。南部藩では無く、津軽藩側の田舎の出だ。
私は彼のアドヴァイスを信じ、実験の結果、宿舎から10キロ先にあるサウナ
に入ることができた。
それ以来か、G棟玄関先で、屡、このオヤジと会話することになった。
彼の言で、記憶にあるのは、
「酒を飲むことぐらいしか楽しみが無い」
「飯食って、糞して、煙草吸って、働いて、寝てるだけの人生だ」