今、中国各地で急激に増えているのが『青少年養護老人ホーム(青年養老院)』という施設です。

若者専用の老人ホームという、この名称に矛盾を感じる奇妙な施設は、中国の超過酷な受験戦争と絶望的な就職活動と生き馬の目を抜く企業労働に疲れ果てた〝蟻族〟〝寝そべり族〟の若者たちの受け皿となっている保養施設です。

その人気は凄まじく、大都市郊外の農村地帯にオープンする新しい施設が、短期・長期の入居者を募集すると、すぐに予約でいっぱいになってしまうほどです。

これらの施設は、地価や物価の高い都市部を避けて、自然が豊かで物価が安い郊外や農村部につくられています。

これらの青年養護院の費用は、地域によってまちまちですが、月額25000円〜70000円ほどで宿泊費と食費が含まれます。

こうした施設に入る若者たちは、幼い頃からの受験プレッシャーと受験のとてつもない倍率に苦しめられ、成人してからも高い失業率と企業の極端な成果主義に疲れ果て、〝燃え尽き症候群〟に陥っています。

彼らは、人生の目標や希望を見失い、気力を使い果たし、何をする気も無くしているのです。

こうして、多くの若者たちが、こうした青少年養護老人ホーム(青年養老院)で、一日中何もせずに、ボーッと過ごしています。

「これは、一種の自分からの逃避です」「以前は必死に働いてお金を稼ぐだけの毎日だった」と20代男性の参加者は言います。

「将来自分たちが定年後にする生活を、若いうちに体験しておくのは悪いことではない」と参加者の20代前半の女性は言います。

「この中国社会で、どんなに必死に頑張ったって、どうせ無駄なんだ」という諦めが、彼らの萎えた気持ちの根底にあるようです。そして、その希望のなさから、若者たちは、会社から、社会から、人生からリタイアしたいと願っているのです。