イスラエル軍によるガザの破壊は、2ヶ月続いている。
イスラエル側は、これをハマスのテロ行為に対する正当な自衛権の行使だと言う。
『悪いのは100%ハマスであり、ハマスのテロにイスラエルが脅かされないようになるためには、いかなるパレスチナ民間人の犠牲を出そうとも、ハマス殲滅まで戦い続ける必要があり、ハマス殲滅後も第二のハマスが現れないように恒久的にガザをイスラエル軍が支配しなければならない』と言うのだ。

しかし、である。この戦争は、10月7日に始まったわけではない。
この戦いのベースには、長年に渡るイスラエルによるパレスチナの占領と支配と抑圧と虐待と拉致と虐殺という事実がある。
そうすると、ハマスが行なっているのは、正当な抵抗権の行使ということになる。

そもそもユダヤ人が〝シオニズム〟とか〝約束の地〟とか自分本位の思い込みに燃え上がり、「ここは3000年前から我らの土地だ」などと理不尽な主張をして、この地にやって来なければ、あるいは、たとえやって来たとしても、あくまでも新参者として頭を低くし、パレスチナ人の地に自分たちも住まわせてもらうぐらいの気持ちで、パレスチナ人の先住権を認めた上で共存するように努力していれば、こんなことにはなっていないだろう。

ユダヤ人は、欧米がアジア・アフリカに対して行なってきたように、パレスチナに無理矢理に植民したのだ。
それはパレスチナ人からすれば、不当な占領にほかならない。
そして、ユダヤ人はパレスチナ人から土地を奪って、故郷から追い出した。
これが、ことの始まりであり、非は100%イスラエル側にある
しかし、宗教的な狂信からユダヤ人は、自らの非を認めることができず、『神に認められた当然の権利を行使している我々に抵抗する下等なアラブ人どもめ!』と意味不明の憎しみを燃やすのだ。

この彼らのパレスチナ人への憎しみの根底には、ユダヤ人特有の選民意識があるように思える。
イスラエルとナチスは、皮肉なことに、自民族への優越意識と同居する異民族への蔑視という点において、極めて強い親和性がある。
だから、ナチスにホロコースト(民族浄化)ができたように、イスラエルにもホロコーストができてしまう。
かつて自分が受けた痛みを、他人に対して与えてしまうというのは、とても主の御心にかなうとは思えない。

真実の良心を持つ、多くの心あるユダヤ人が、『ユダヤの名の下に、おぞましい虐殺を行うのを今すぐやめよ!』とイスラエルを強烈に非難するのは当然のことで、とても共感できることだ。

そうしたイスラエルへの至極真っ当な非難を『反ユダヤ主義』として攻撃する勢力が、欧米で圧倒的猛威を振るっている。
しかし、今日ほど、「反ユダヤ主義」とか「自衛権」という言葉が、白々しく空しく聞こえるようになったことは、歴史上ないのではないか。

毎日、ニュースで、多くの子どもたちが血まみれになって泣き叫び、手当も受けられず死んでいく映像を見せられながら、これはいったい何なのだ、と自問自答せざるを得ない。
「それがハマスの手なのだ、ハマスが人間の盾にしているのだ」とイスラエル擁護派は言う。
では、太平洋戦争での東京大空襲は、広島・長崎は、沖縄戦は、日本軍が、日本人住民を人間の盾としたのか。
いいや、そうではない。日本軍は住民を守ろうと精一杯のことはしたのだ。
ただ、相手の軍事力が圧倒的だった。どうにもできず、蹂躙されたのだ。
必死に抵抗しても、10倍返し、20倍返しで返される。助けたくても何もできないのだ。

よく見て欲しい。
あの子どもたちは誰の砲撃で、誰の銃撃で、誰の爆撃で死んでいるのか?