洞口朋子さん(1988年生)。
『革命的共産主義者同盟全国委員会(中核派)』幹部で、中核派の政治団体『都政を革新する会』メンバーである。法政大学経済学部に在籍していた元学生運動家で、現杉並区議会議員。
出身は宮城県仙台市だが、父親が中核派の機関誌「前進」を愛読しており、小6で母親が亡くなった後は、この父親の強い影響下で育ったものと思われる。本人も中学時代から「前進」を愛読していたらしい。
高校卒業後、中核派の学生運動に加わることを志して上京し、法政大学(通信制)に在学しつつ、江戸川区の前進社本部(中核派本拠地)の五階建ビル内で、活動家男女約100人との共同生活を営み、結果、極左運動への傾倒を理由に、大学は無期停学から除籍となった。
2017年からは中核派YouTube 「前進チャンネル」のキャスターを務める。
2019年4月の統一地方選挙の時、10年間生活していた前進社本部から杉並区へ転居し、杉並区議会議員選挙に立候補して3275票を獲得して当選。さらに2023年4月にも2632票を獲得して再選され、現在2期目を務めている。
中核派は、1963年に革マル派と分離した新左翼の中心的な過激派グループであり、1960年代の安保闘争、大学闘争、街頭武装闘争を通して、新左翼最大の規模と勢力を持つに至った。
1970年代には、中核派は、革マル派と、激しい武装勢力闘争(内ゲバ)を続けた。1975年には中核派リーダーが革マル派によって殺されたこともあって、内ゲバはますますヒートアップし、各地の戦闘で100名近くの死者を出した。そのなかには、1974年に琉球大学構内で中核派が無関係の学生を革マル派と誤認して襲撃し殺害する「誤爆」事件もあった。
1980年代には成田空港建設反対の三里塚闘争が起こり、中核派は、運輸省の幹部宅、自民党本部、警察署などへの爆破・放火・襲撃事件などのゲリラ闘争を繰り広げた。
1991年に中核派は「当分の間、ゲリラ闘争を控えて影響力の拡大を図る」と宣言した。
洞口さんが区議会議員に当選した杉並区は、沖縄県と並んで、中核派の影響力が全国で最も強い地域である。
ちなみに、中核派のメンバーは、現在、総数で4700名と言われる。
毎月20万円を中核派に寄付し続けている洞口朋子さんは、現在も中核派の忠実な活動家のようだ。だから、彼女の主張は、中核派の主張そのものである。
彼女の主張は、2022年9月11日のAbemaTVでのひろゆき氏との対談などでも垣間見ることができる。その主張は中核派機関誌「前進」に書かれている内容に一致する。
主要な主張は以下の二つである。
①日本政府は、アメリカと悪巧みをして中国侵略を企み、その準備を着々と進めているので、世界の平和のためには、可能ならば暴力をもちいてでも日本政府を倒さねばならない。(暴力による共産主義革命の肯定)
※「日本が挑発するから、中国は軍拡を続け、尖閣に迫り、日本の領域にミサイルを撃ってくる」(中国は脅威ではない、日本が脅威である)と主張。
②日本政府とアメリカの横暴に苦しめられている沖縄の米軍基地反対闘争と連帯して、戦争好きの日本政府を打ち倒すために力を尽くさねばならない。(沖縄の基地反対闘争との共闘)
※「辺野古米軍基地の建設目的は中国への侵略である」(日米による中国侵略を阻止すべし)と主張している。
根本には、『中国よりも北朝鮮よりも、日本政府とアメリカの方が圧倒的に悪い(怖い)』という強固な不信感(妄想)があるようだ。その妄想は、洞口さんの場合は、最愛の父親から受け継いだものであるだけに、より根深いと思われる。
彼ら中核派の最大の問題は、「世界は自分たちの手で変えられる」という根拠のない自信・自惚れ・思い上がりにある。
その強烈な思い上がりがあるから、「世界を変えるためには、暴力によって多少の犠牲が出るのはやむを得ない(殺人の肯定)」という言い訳・自己欺瞞が覆ることがない。
これは、日本赤軍の重信房子さんや、その他の過激派テロリストにも共通する感覚だろう。
ドストエフスキーは、このような自己欺瞞の強い思考をする精神を、その作品の中で繰り返し描いた。
代表的なものでは、『罪と罰』の主人公ラスコーリニコフを通して描いている。
ラスコーリニコフの心情をわかりやすく言うと「自分には世界を変える能力がある」⇨「自分が倒れたら世界は救えない」⇨「自分を救うことは世界を救うことに通じる」⇨「世界を変えるためには多少の犠牲者を出しても仕方がない」⇨「自分の自己都合で人を殺してもよい」ということだ。
中核派の暴力革命の主張によく似ている。
しかし、そういう洞口さんには、次の言葉を贈りたい。
「あなたは世界を自分の思うように変えることなどできない。」
「あなたの生き方は世界の形成に影響を与えるが、その与える影響の中身は、あなたの意図するものとはまったく異なる。」
「人々の心は、あなたの心の頑なさに倣って、より頑なになるだろう。」
「そして、世界に多くの不幸が生まれるだろう。」
ちょうど今、イスラエル・パレスチナで起こっている悲劇のように…。
最後に言っておきたいのは、国を奪われたパレスチナ人が、パレスチナ国家樹立を目指して、イスラエルに向けて行うテロ行為や戦争行為と、中核派が、この世界で最も平和で安全で豊かで自由な国の一つである日本で、暴力革命を起こそうとするのでは、その意味もまったく異なるということだ。
パレスチナ人の残虐暴力行為は心情的に理解できないわけではないが、中核派の言い分は、まったくリアリティに欠けている。
『日本が中国を侵略しようとしている』とか、勝手な妄想の中に生きる住人たちの戯言としか思えない。一方で、「彼らサヨク中毒患者たちの懲りない面々が、奇妙な妄想を世間に撒き散らし、この国を危うくするのはとうてい看過できない」という危機感も感じるのだ。
今の日本には、彼らを飼っておく余裕はあまりない。世界の情勢がそれを許さないのだ。