ジャニーズ問題の構造について考えてみたい。
①芸能界における小児性加害問題は、絶対に男子だけではない。現在告白によって表面化しているのは氷山の一角であり、むしろ、ジャニーズ以前から女子アイドルを餌食とする小児加害は芸能事務所の営業の一環として芸能界に広く蔓延していたものと考えるのが自然である。
②しかも、その強制的で騙し討ち的な枕営業の相手は、テレビ局の大物プロデューサーなどがメインであったろうと推測される。つまり、もともとテレビ局と芸能界は、小児加害の温床だったのであり、その闇は一度として暴かれたことはなかった。
③だから、ジャニー喜多川氏の常習的性加害も、芸能界にありがちな行為として、業界内部では、とりたてて騒ぐべきものでもなかった。業界内では、どこにでもある珍しくもない話だったのだ。
ジャニー喜多川氏の存在以前に、既に芸能界とテレビ局とのタッグは小児性加害の再生産装置として、戦後、長い間、十二分に働いてきたからだ。その需要は、政界や関係するスポンサー企業の一部にも深く食い込んでいることだろう。
④従って、美川憲一さんや古舘伊知郎さんや上沼恵美子さんがおっしゃるように、根本からズブズブに腐りきっている芸能界とテレビ局の自浄作用に期待するのは、そもそも不可能である。「これまでべったりの共犯関係だったものを、いまさら、どう反省しろというのだ?」という困惑すら広がっているのが業界やメディアの現状(本音)ではないか?。
そして、BBC報道のような外圧に対しても、『何とかお茶を濁してごまかしておいて、ほとぼりが冷めるまで逃げ切ろう』という時間稼ぎの意識が業界全体に強く働いている。
口ではまことしやかなきれいごとを並べているが、本心などどこにもない。関係者は、皆、嘘つきだ。
⑤新浪氏のように、もともと芸能界の闇の部分との裏の結びつきの弱いクリーン(?)な企業人たちは、この状況にフラストレーションを募らせている。
「なぜ、まともな自浄作用が働かないのか?」(なぜジャニーズが存続しうるのか)と。
しかし、彼ら、清廉潔白な産業界の諸氏については、同業者(企業人)ですら、この小児性加害の闇にのまれている人々があまりにも多いという深刻な実情を、どれほど理解できているか、いささか心許ない。
私がイメージするのは、聖書にあるソドムとゴモラの都市、そして、ポンペイの悲劇だ。
欲望の資本主義に呑まれたソドムとゴモラの都市は、神の審判により塩の柱に変えられた。同じく欲情と背徳の歓楽都市であった古代ローマのポンペイも、突然のヴェスビオス火山の大噴火によって、降り注ぐ火山灰の下に埋もれて滅びた。
今、この国にも、当時と似たような破滅的な危機が迫っていることを強く感じる。
自らを浄化できない者は、遅かれ早かれ、歴史の審判に向き合うことになるのだ。
それは、そう遠いことではないだろう。
※10月4日、ジャニーズ事務所による10月2日の記者会見における「質問NG記者リスト」と「指名優先記者リスト」の存在とその使用をNHKが報道し、ジャニーズ事務所はそのリストの存在を認めた。
ただし、ジャニーズ事務所の釈明によれば、このリストを作成したのは記者会見の進行を委任していた外資系コンサルタント企業であって、ジャニーズ事務所の意向ではなく、むしろ、事前に質問拒否はしないように申し入れたのであって、会見を進行した6名のスタッフが「NGリスト」と「指名優先リスト」を会見中持ち歩いて、NG記者や優先記者の席をチェックしていたことなどは、ジャニーズ事務所のスタッフは誰1人知らなかったと釈明している。
けれども、決定的なのは、ジャニーズ側が事前に「NGリスト」の存在を知っていたということを告白していること。このリストを廃棄させなかったのは事務所の責任。また、外資系企業がわざわざ依頼もないのにそうしたリストを作成した動機も理解し難い。さらに、ジャニーズ事務所側が、リストを作成・使用した責任を記者会見進行委託会社になすりつけているのも見苦しい。コンサルタント会社側の担当者は、会見の方針はジャニーズ事務所側と共有していたと述べている。事務所側を陰で操る裏ボス白波瀬氏(元メディア対策担当副社長・現嘱託社員)あたりが関与していた可能性は誰しも想像するところだ。
このリスト(司会松本和也氏にも渡されていた)に基づく司会進行役による恣意的な質問指名によって会見は必然的に紛糾したわけだが、それを松本さんは「フェアです」「茶番ではないです」と言い、井ノ原さんが「皆さん、もっと落ち着いて、平和的に振る舞いましょう」と呼びかけたのも、今となっては茶番にしか見えない。井ノ原さんも、めんどくさい記者の質問は後半に持ってきて時間切れを狙うことには了承していたんですよね?
結果として「もともと公明正大な会見を行うつもりがなかったのではないか?」という決して拭えない疑念を一般社会に印象付けることになった。また、未来を背負う子どもたちに、またしても、過ちを犯した大人の汚い誤魔化し方を教授してしまったことは間違いのないところだ。
取材側「合宿所でジャニー喜多川の餌食になる未成年の性被害者の後輩に向かって、最年長の先輩として『今日はお前やられてこいよ』と言っていたというのは本当ですか?」
東山社長「昔のことで記憶が定かではありません。」