「ふきのとう」は、北海道札幌市の北海学園大学に在学中だった山木康世さん(1950年生)と細坪基佳さん(1952年生)が結成し、1974年(24歳・22歳)に「白い冬」でデビューしたフォークデュオです。

1974年と言えば、N.S.Pの代表曲「夕暮れ時はさびしそう」、チューリップの「青春の影」がヒットし、伊勢正三が「22歳の別れ」「なごり雪」を発表した年です。

「ふきのとう」は、当時、主に、地元の北海道と、なぜか沖縄でのみ、異常に人気が高かったグループです。

選曲は、私の独断と偏見によるものです。曲順は、発表年次順です。1974〜1981年までの発表曲から選んでいます。私が、「ふきのとう」の新譜を聴いていた期間にあたります。

「ふきのとう」の歌は、心の弱っている時のリハビリに聴くと良い歌が多いです。普段は放置してしまっている、心の片隅のやわな部分を突かれる感じがします。

 

 

①白い冬

作詞 工藤忠幸/作曲 山木康世

◯シングル(1974年発表/1st/14位)

◯アルバム「ふきのとう(1974年発表/1st/ー)」初収録。

「ふきのとう」のデビュー曲にして、グループの代名詞的な名曲。

「あなたを愛した秋はもう去って、迎えつつあるは、悲しい白い冬。もう忘れた、すべてあなたのことは、秋の枯れ葉の中に捨てた。」

 

②初夏

作詞作曲 山木康世

◯シングル(1975年発表/3rd/50位)

◯アルバム「ふたり乗りの電車(1975年発表/2nd/37位)」初収録。

珍しくアップテンポの曲。早いテンポで、でも、切ない。

「夏の初めの昼下がりは、とてもなじめず、寂しくなる。」

 

③やさしさとして思い出として

作詞作曲 山木康世

◯アルバム「風待茶房(1976年発表/3rd/65位)」初収録。

◯シングル(1980年発表/15th/84位)シングルバージョン。

「ふきのとう」の代表曲。発売当時は、北海道と沖縄以外では、まったく売れませんでしたが、それから5年ぐらいかけて、じわじわと全国的に知られる曲になっていきました。1980年代中頃には、よく有線やラジオから流れていました。

「もう、あなたの涙もろさや、人一倍の負けず嫌いなとこも、あなただけの優しさとして、帰らぬ思い出として。」

 

④朝もやの中

作詞作曲 細坪基佳

◯アルバム「風待茶房(1976年発表/3rd/65位)」初収録。

「ふきのとう」の曲の中でも、細坪さん作詞作曲で、爽やかな印象の名曲。

「新しいカバン、古いギター、そして、君のすました写真。僕のくらしが始まって、もう2年。思い出をボール箱につめて、明日この部屋を出てゆく。」

 

⑤メリークリスマス

作詞作曲 山木康世

◯アルバム「歳時記(1976年発表/ベスト/ー)」初収録。

ボーカルが山木さん!

「ほととぎす」と並んで、山木さん歌唱の代表曲。この暗さとわびしさがいい。

「石油ストーブに身体寄せて、僕はちぢこまって、めりいくりすます。」

 

⑥水色の木もれ陽

作詞作曲 山木康世

◯アルバム「風来坊(1977年発表/5th/ー)」初収録。

「ふきのとう」中期の代表曲。

「スケッチブックには、風がさらさら吹き、水色の木もれ陽が、あなたの瞳に。」

 

⑦雨はやさしいオルゴール

作詞作曲 細坪基佳

◯アルバム「風来坊(1977年発表/5th/ー)」初収録。

細坪さん作詞作曲の作品では、一番好きな曲です。

「古いオルゴールの優しさに似ているような、そんな雨音が聞こえる夜に、ふと君を思い出す。」

 

⑧春雷

作詞作曲 山木康世

◯シングル(1979年発表/13th/22位)

◯アルバム「人生・春・横断(1979年発表/7th/ー)」初収録。

がんで死期が迫っていたお母さんへ祈りを込めて、山木さんがつくった曲だそうです。

「春の雷に散るな、今すぐに。桜花吹雪、命つづくまで。」

 

⑨赤い傘

作詞作曲 細坪基佳

◯アルバム「人生・春・横断(1979年発表/7th/ー)」初収録。

これも、細坪さんらしい、リリカルな魅力にあふれる名曲。

「こんな夕暮れ、恋をした、あなたの傘の中。」

 

⑩ば〜じにあ・すりむ

作詞作曲 細坪基佳

◯アルバム「人生・春・横断(1979年発表/7th/ー)」初収録。

細坪さんの作品では、「雨はやさしいオルゴール」に次いで大好きな曲。

「気だるそうに椅子にもたれて、白い指にはバージニア・スリム。この街がとても似合うよ、そう、今の君になら。」

 

⑪柿の実色した水曜日

作詞作曲 山木康世

◯シングル(1979年発表/14th/87位)

◯アルバム「人生・春・横断(1979年発表/7th/ー)」初収録。

この曲がリリースされた頃、北海道では、札幌市地下街でのリクエストが圧倒的に多く、別名「ふきのとうの地下街」と、当時、呼ばれていました。

「覚えてるかな、逢った日の空と山の色。柿の実色した水曜日、初めて君を見た、初めて恋をした…。」

 

⑫青空

作詞作曲 細坪基佳

◯シングル(1979年発表/14th/87位)

◯アルバム「人生・春・横断(1979年発表/7th/ー)」初収録。

細坪さん作詞作曲の作品では、後に、もっとも世に知られるようになった名曲。湿っぽい曲の多い「ふきのとう」の曲の中で、珍しく乾いた印象の強い曲。

「ああ、なんて、今日はのどかな日だ。なんて幸せそうだろう。今日も、大空に絵を描くんだ。まずクレヨンで、そして絵の具で、吹き出す赤い血で、廃墟を塗りつぶしてしまえ。」

 

⑬羊飼いの恋

作詞作曲 山木康世

◯アルバム「D.S.ダルセーニョ(1981年発表/8th/ー)」初収録。

いかにも山木さんらしい曲。

「翠の蝶は、花から花へ、ひらひらそよぐ風に乗り、私の夢は、空から空へ、くるくるまわる羽根に乗り、君恋しやと呟けど、光の海に溶けていく。」

 

⑭メロディー

作詞作曲 山木康世

◯シングル(1981年発表/17th/ー)

◯アルバム「D.S.ダルセーニョ(1981年発表/8th/ー)」初収録。

「ふきのとう」の楽曲中で、おそらく唯一の明るいラブソング。1990年代にも、ラジオのリクエストで流れていました。

「あなたをいつしか愛していた。燃えるその心に照れながら、言葉はいらない、そばにいれば。」

 

⑮雨々降れよしめやかに

作詞作曲 山木康世

◯アルバム「D.S.ダルセーニョ(1981年発表/8th/ー)」初収録。

童謡「シャボン玉」を連想させる、幼くして亡くなった女の子への葬送曲。

「風、風、吹けよ、柔らかに、あの子が寒くないように。この世に神がいるのなら、今頃、深い海、あの子は貝。今頃、高い空、あの子は虹。」